【凡夫(1)】
人間関係で知っておきたい大事な心得の一つは
「自分が正しい、相手が間違っている」と思い込まないことです。
相手は悪人で自分は正義、
相手は加害者で自分は被害者、
こう決め込んで話し合いのテーブルにつくと、
カッカしてしまい、話し合いにならなくなります。
相手の罪状を洗い出し、心の中で裁判が始まり
いかに相手がひどいことを言ったか、
いかに自分がひどいことをされたか、
を立証することに躍起になってしまいいます。
そして相手の罪状を並び立ててば立てるほど、
ますます相手が悪人に思え、憎しみはその人の心に深く刻まれてしまうのです。
仏教が日本に伝来した際、多大な貢献を果たした聖徳太子は
こういうことをよくよくご存じだったからでしょう、
有名な十七条憲法の一節にこうあります。
【我、必ず聖にあらず。彼、必ず愚にあらず。ともにこれ凡夫のみ】
「私が必ずしも正しいとはいえない。
彼が必ず間違っているともいえない。
ともに間違いだらけの人間のやることだから」
人間はとても思い込みが激しい生き物です。
、
いったん「これが正しい」と思い込むと、他の見方ができなくなってしまいます。
しかもその「正しい」との主張は、
(それが熱く主張するものであればあるほど)
その人の利害に絡んでいることであり、
それがためにたいていその主張は間違っています。
さらにやっかいなことに人間は、
自説を否定する者が許せず、排斥しようとしてしまうのです。
間違いやすい者、
思い込みが激しい者、
利害で判断してしまう者、
そして自分を否定する意見が許せない者、
これら全部ひっくるめて「凡夫(人間)」の実相です。
そういう凡夫が自分、との自覚に立って政(まつりごと)を為すべし、と自戒が
【我、必ず聖にあらず。彼、必ず愚にあらず。ともにこれ凡夫のみ】
の憲法になったのでしょうね。
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