【後生の一大事(1)】
「死んだらどうなるんだろう」
こんな問いを考えられた経験はあるでしょうか。
「そんなこと考えたこともないよ」と一笑に付す人もあるでしょうし、
「子供の頃ふと考えた」という人もあるかと思います。
私は小学生の頃、テレビの心霊特集を見たりしてたせいか、
無性に幽霊が怖い時期があって、
その頃は暗いところで寝るのがとても嫌でした。
アコーディオンカーテンで兄の部屋と仕切られた部屋で寝ていたのですが、
中学生の兄が夜更かしして明かりが漏れているとほっとして寝れるのですが、
そうでない真っ暗な部屋で寝なければならない時は、
幽霊が出そうで、怖くて寝れなくなってしまうのです。
それで私は子供心に、なんで自分は幽霊がそんなに怖いんだろう、と自分の心をよく見つめたのですが、
その時出した私の答えは「幽霊にあっちの世界に連れて行かれるのが怖い」でした。
「あっちの世界」とは、死んだ後の世界のこと。
幽霊の存在と共にあの世が口を開けているような感じがして、
そのまま得体の知れない「あの世」に引っ張って行かれてしまうことへの、盲目的な恐怖でした。
死んだ後どうなるか、具体的なイメージなど何もないので現実的な恐怖ではないのですが、
何か一人ぼっちで真っ暗な虚空に足を踏み入れるような感じがしておびえていたのです。
それがどうしたことか成長するにつれ、
いつしかあの世の恐怖など、自分の中では「取るに足らないこと」となり、
学校の成績やクラスの人間関係、部活でのレギュラー争奪の方が
よっぽど気になる、重大な関心事となっていきました。
中学、高校時代、ふとしたおりに「死んだらどうなるのかな」と頭をよぎることがあるにはありましたが、
なにしろそんなことは、親も、教師も、友人も、社会も誰も問題にしないし、
自分も口にすることはないし、考えたところでどうなるでもない、「つまらない事柄」でした。
私のように子供のころ、「死んだらどうなるか」考えたことがある、という人は結構あります。
その当時に地下のガス管の爆発事故で死者が出たという報道があり、
そんなガス管が自宅や学校の地下にも通っていると聞き、
自分も突然死ぬことあるのかなと思ったことをきっかけに
「死んだらどうなるか」を考え、怖くなったという人もあります。
お祖父ちゃんの葬式の時に、天国だとか墓の下だとか聞いて、
実際はどうなんだろうと気になって考えた時、
死んで自分の存在自体が消滅するのかと思い至って、
圧倒的な恐怖を感じてしまった、という人もあります。
私や多くの人が感じていた、この漠然とした疑問、ぼんやりした不安は、
いつしか大人になり、生活に追われるうちに忘れてしまうものですが、
それは決して解決できたわけではなく、心の深いところに内在しています。
私がその存在に気付いたのは、18歳で仏教の話を聞いた時でした。
仏教を説かれた釈迦も、浄土真宗の開祖である親鸞聖人も、
決して「死んだらどうなるか」を「取るに足らないこと」とも「つまらない事柄」とも言われず、
それどころか万人の確実な将来であり、これ以上の一大事はないと説かれています。
これを「後生の一大事」といわれます。
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