【娑婆(1)】
刑務所での刑期を終えた人が出所し、
「やっぱり娑婆の空気はいいもんだ」などと使う「娑婆(しゃば)」という言葉、
元来は仏教の言葉で、刑務所の外という意味はどこにもありません。
私たちが生きている「この世」を指す言葉です。
昔のインドの言葉「サハー」、漢字で音表したのが「娑婆」、
中国の言葉で「堪忍土(かんにんど)」と訳されます。
どうして、私たちが生きている世界を「堪忍土」というのかというと、
この世に苦しみ悩みが絶えず、常に堪え忍ばねばならない世界だからです。
好きな人と別れなければならないこともあります。
いつまでも一緒にいたくても、お互い生身の身体です、
いつか片方が死に、別れが訪れます。
生き別れもあります。
こちらが別れたくなくても、相手の心が離れてしまえばもう一緒にいられません。
「いやだ。別れたくない」と泣き叫んだって、どうしようもありません。
逆に顔も見たくもない相手でも、仲良くせねばならないこともあります。
上司だったり、姑だったり、近所の人だったり、その相手はいろいろですが
どれだけ別れて清々したいと願っても、
その職場や家庭に身を置く以上、離れることは許されません。
愛する人に近づきたい気持ちを忍び、
嫌いな人から遠ざかりたい気持ちにも耐え、
みな涙を隠して生きています。
思うままに生きている人は誰もいません。
それは一党支配の独裁者も、超大国の大統領とて同じです。
みな娑婆世界に住む苦悩の衆生なのです。
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