【瞋恚(1)】
仏教では「怒りの心」を『瞋恚(しんい)』といい、
108の煩悩の中でも特に私たちを苦しめ悩ませる三毒の煩悩の1つに数えられます。
お釈迦様は「気をつけなさい」と、重ねて怒りの恐ろしさは説かれているので、
当メルマガでも、さまざまな怒りの悪影響をお話ししています。
今回は怒りの心が、周りに与える悪影響についてお話しいたします。
もう10年ほど前ですが、池袋駅のみどりの窓口で大声で怒鳴っている中年男性を見かけたことがあります。
何かのクレームなのですが、窓口の駅員が説明するのが言い訳のように聞こえたようで、
その駅員に「謝れ」と激高しているのです。
そんなに声を荒げるような案件でないのは明らかで、
別に私自身に向けられた怒りではないのですが、
その大人気ない姿に私は不快に思いましたし、
周りで並んでいる人たちも顔をしかめていました。
怒っている人にはそれぞれ怒る理由がその人にあるのでしょうが、
それがなんであれ怒っている人が近くにいるだけで、
周りは腫れ物を触るように気を使わなければならなくなり、気が滅入ってきて、
いい迷惑であることをよく自覚しなければなりません。
近年ハーバード大学が
「日常的に繰り返される激しい夫婦げんかは子どもの脳を傷つけている」
との研究結果を発表しました。
子供にとって親は、好きでいたい、尊敬する対象でいたい、絶対的な存在です。
その両親がお互い相手の欠点を罵り合うのだから、こんなショックなことはありません。
その影響力も甚大で、両親の暴言や暴力を数年に渡って目撃してきた人は、
視覚野が平均で16%萎縮していたのだそうです。
「いつもあなたはそうだ」とか、「どうせこうだ」とか「いったよね」とか
両親がお互いを責め合い、やがて無視し合うと、
子供は敏感に空気を察知し、
本当は無邪気に自慢話したり、テレビの主人公の真似をして飛び跳ねたいのに、
口数も少なくなり、陰気になっていきます。
その悪影響はその時の居心地の悪さといった限定的なものではなく、
その子の人生全体に悪影響を与えるのです。
これは一例ですが、なにしろ怒りは周りを不幸にさせます。
怒りっぽい人の周りにいる人はみな不幸です。
その人が怒りを抑えたら、周りの人は楽になります。
怒りを抑えるのは強い自制心が求められるので、
抑える人は大変ですが、その努力によって、
周りの人たちはストレスが軽減し、生きやすくなります。
自分の周りの人が幸せになってほしい大切な人ならば、
まず自身が怒りを抑えることです。
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