「光に向かって」という本にあったエピソードを、
紹介いたします。
「縁」の大切さを知らされるお話です。
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明治三十三年に没した博多の万行寺(まんぎょうじ)の住職、
七里恒順(しちりごうじゅん)師は近代の名僧といわれる。
ある夜、師の寝室へ強盗が押し入り短刀を突きつけ、「金を出せ」と迫った。
まじまじと自分を見ている師に、薄気味悪くなった泥棒サン。
「早く出さぬと、殺すぞ、殺すぞ」
とうろたえる。
「金は、床の間の文庫の中にある」
静かに師が答えると、文庫をかかえて慌てて立ち去ろうとした。
「待ちなさい」
「何か、用か」
睨みつける犯人に、おだやかに師は言っている。
「実はその金はのう、仏さまからのお預かりものなんだ。
本堂へ行って、一言お礼を言ってから帰りなされや」
威徳に打たれたのであろう。
泥棒は素直に本堂へ行き、頭を下げて帰っていった。
やがて師に、警察から呼び出しがあった。
あの犯人が捕らえられたのである。
「金品を盗られたのなら、すぐに届けてくださらないと困ります」
「いや、私は盗られた覚えはありませんが……」
「貴僧はそう言われても、犯人がハッキリと白状しているのですから」
「それは何かの間違いでしょう。
確かにある晩、金がほしいと言ってやってきた者はいた。
だが、その人には仏さまにお礼を言って帰りなさいと、
与えはしたが盗られたのではない」
いかめしい警官と、さわやかな問答が交わされたという。
刑を終えて出所すると聞いた師は、
「因縁のある男だ。
私の寺に会計係がいない。
ちょうどよい、働いてもらおうか」
と身受けしている。
感激した彼は立派に更正し、
生涯一度のミスも犯さなかったといわれる。
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泥棒でも、しかも盗みに入った家で
出会った人によって、
人生が大変わりしたというエピソードです。
私達の人生は誰と出会うか、
で大きく変わります。
『縁』には大変な力があるということです。
空気中の炭素は
高温高圧の縁に触れると
ダイヤモンドになります。
「ダイヤモンド」
この美しく輝き、
最高の硬さを持つ物質が、
軟らかくて
時として汚れのひどい物の代表とされる
炭や油煙や鉛筆の芯などで知られる
石墨(グラファイト)と同じ成分の、
炭素からできているのですから
面白いものです。
私達も『縁』を大事に、
ダイヤモンドのように輝く人生にしたいところですね
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