■11年前くらいに、京都大学の近くの公民館で、
定期的に勉強会をしていました。
雨の中、傘をさして京都の石畳の路地を歩いていた時、
ふと見た路地の片隅に石碑があり、
「ここで佐久間象山が殺されました」
というのを発見しては、「ここかぁ」と
感慨深く思ったものです
こういう時って、いろいろな想像がふくらみ、
歴史絵巻が現地の空気にふれて増幅していく感覚です。
作家の司馬遼太郎は、
小説を書くにあたって現地に行くまでに
既に歴史や地理、環境などを
徹底的に調べ上げ、
訪ねた土地の地図まで描けるほどにしたそうです。
その上で、現地に出かける。
そして、調べてきたことと異なったことや
方言、現地の絵を描いたりして、
その場の空気感をミックスさせて
立体的にくみ上げるようにしていた、と聞きます。
ウソや勝手な想像のフィクションは嫌って、
そのストイックな姿勢は
司馬史観ともいわれます。
その司馬遼太郎が、歎異抄について、
かって講演で述べている箇所がありました。
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「私は兵隊に行くときにショックを受けました。
まず何のために死ぬのかと思ったら、
腹が立ちました。
いくら考えても、
自分がいま急に引きずり出され、
死ぬことがよくわからなかった。
自分は死にたくないのです。
ところが国家は「死ね」という。
死んだらどうなるかが、分かりませんでした。
人に聞いてもよく分かりません。
仕方がないので本屋に行きまして、
親鸞聖人の話を弟子がまとめた『歎異抄』を買いました。
非常にわかりやすい文章で、
読んでみると真実のにおいがするのですね。
人の話でも本を読んでも、
空気が漏れているような感じがして、
何かうそだなと思うことがあります。
『歎異抄』にはそれがありませんでした。」
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時代考証、現地の歴史を調べ上げて
徹底したリアリズムを追求する司馬遼太郎なればこそ、
「空気が漏れているような感じ」
と敏感に察知するのでしょう。
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