親鸞に学ぶ幸福論

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「慈悲とは何か」を考えさせられる興福寺の話【小慈悲(2)】

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「興福寺」という魚捕りの道具があります。

細長い筒状の、竹で編んだカゴでできていて、

川の岩の間に挟んでおくと、

自然とたくさんの魚がかごの中に入ってくる仕組みになっている道具です。

 

なぜ魚を殺す、いわゆる殺生の道具に、

殺生を禁ずる寺の名前がついたのでしょうか。

 

こんなエピソードがあります。

 

ある厳冬の朝、川べりを歩いた興福寺の僧侶が、

寒そうにしてる魚の群れを見つけた。

 

「魚も冷たかろう。せめて寒さをしのげる家でもあれば。」

と、その僧侶、慈悲心を起こし、

夜なべして、竹編んで細長い筒状のかごを作った。

 

それを川のふちに沈めておくと、

翌朝には、暖かそうに、

魚の群れがそこを住処として、

集まっていた。

 

かすかに微笑んだ僧侶は

「自分もわずかばかりの慈悲を施すことができたかな」と

満足してそこを去った。

 

それから一刻ほどした頃、その川で漁をしている漁師が現れた。

「おや、いつもと違う何かがある。これは何だろう」

引き上げてみると、

そこには大量の魚がかかっていた。

 

「だれが作ったのか知らないが、これはいいものだ。

 この入り口をもっと狭めると、なお捕れるぞ!」

その漁師はこれを改変して、今日の魚捕りの道具に

なったと伝えられます。

 

こうして、これから先何百年にもわたって、

何千、何万という魚を殺す道具が完成したのです。

 

この僧侶、もう少し智恵があれば、

「まてよ、この川には漁師もいるだろう。

 ひょっとしてこれ発見したら悪用するかもしれないぞ」

と考えが及んだもかもしれません。

が、そこまで熟慮できなかった。

 

【思慮のない慈悲が余計相手を苦しませることになる】

 

親は子供を溺愛するあまり、

子供が自立できずに

結果的に苦しませるということもあります。

 

逆に「しっかりとしつけなければ」と干渉するあまり、

子供が萎縮したり、

心の病になることもあります。

 

人間の慈悲の限界を見る思いがします。

 

そういえば、スタンガンという機械があります。

発売当初は、痴漢撃退の護身用として宣伝されたそうです。

非力な女性でもハンドバックに忍ばせてゆけば、

痴漢を撃退できるという触れ込みでした。

 

今、このスタンガン、誰が一番利用しているか

ご存知でしょうか。

 

痴漢だそうです。

まさに現代版興福寺といってもいいでしょう。

 

慈悲というのは、大事なものですが、

相手の立場に立とうと努力するほどに

なんと難しいことかと知らされます。

 

親鸞聖人は

『存知のごとく助けがたければ

 この慈悲始終なし』

と、人間の慈悲の限界を述べられています。

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