【名誉欲(2)】
■目立ちたい、賞賛されたい、大事にされたい、
自分の才能や努力を知ってもらいたい、という人間の欲求を
仏教では「名誉欲 」といいます。
仏教で、食欲、睡眠欲などと並んで
人間の五欲 の一つに挙げられているところからもわかるように、
人間の根源的な欲求です。
ちょうどのど渇いている人が
何か飲まないとやっていけないように、
人間は自尊心を認められないと
やっていけない存在なのです。
昨日のメルマガで名誉欲を「渇望」と表現したのもそのためです。
■人をほめずに、軽視して、
いてもいなくてもいいぞんざいな扱いをすることは、
のど渇いている人に飲み物を与えずにいるようなものですから、
誰も耐えられません。
■「家庭にも学校にも居場所がなかった」と使う場合の
「居場所」というのも、
自分を認めてくれるところ、大切に思っているところ、
といえるでしょう。
■名誉欲を満たさずに、生きられる人は一人もいないのです。
これはどんな聖人君子、人格者といわれる人もです。
口を開けば自慢、他人への蔑視発言という人はいますが、
その人にそう言わせるのは名誉欲です。
「名誉欲」への渇望が、その人に言わせてしまうのです。
逆に、「自慢と悪口は自分の品格を落とし、
人を不快にさせるだけだから言わない」
という信条の人も、
その信条を持つ自分に自尊心を持ち、
そこを評価してもらいたいという密かな思いがあるのですから、
名誉欲に違いありません。
■アスリートの記録への挑戦、と聞くと
人の賞賛を度外視しての純粋無垢な心情と聞こえますが、
無人島で暮らすアスリートが
昨日よりも今日、今日よりも明日と
新記録を出すために練習を続けることはないでしょう。
■偉大な科学者も
清廉潔白な真理への探究心がモチベーションであり、
名声や賞賛をまったく気にしていなかったとは思えません。
■宇宙ロケットの孤独な旅人も、
自分を見守る地球上の人の眼を感じればこそ
耐えていけるのです。
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