【後生の一大事(1)】
子供たちは「知りたがり」です。
子供が親に質問を浴びせてきた時は
「真摯に答えてあげてください」と
どの育児書にも書かれてあります。
「忙しいから、後」とか、
「大人になったら分かるから、今は知らなくていい」
と面倒臭そうな発言や態度はよろしくないようです。
親が分からない質問は適当なことを答えないこと、ともあります。
インターネットや図書館で調べるなどして、
結果を出してあげる努力が必要だとも書かれています。
さて、このようにいろいろなことを気兼ねなく、
率直に聞いてくる子供たちですが、今からが本題です。
これは支援学校で教員をされている方から聞いた話です。
その先生が通う学校の分教室には白血病の子がいて
一年に何人か亡くなるそうです。
子供たちは、死が意識されてくると
「死んだらどうなるの?」と訊いてくるそうです。
その子供たちの真剣な問いかけに、
医師も教員も親も、「天国よ」「星になるのよ」
としか言えないそうです。
しかし怖い未来を直感しているのか、
小さな子でも「いい加減なこというな!」と言うそうで、
周囲は絶句する、とのことでした。
卒業が近づくと、卒業後の進路のことが気になるように、
結婚が間近に迫ると、結婚生活の不安が出てくるように、
退職が近づくと、老後に関心を持つように、
死が身近に迫ると、「死んだらどうなるか 」
考えるのは自然なことです。
卒業後の進路や老後のことは、強い関心を持ち、よく検討し、
熟慮を重ねるのに、【死】については、頑なに見ようとしません。
考えたところでどうにもなることではないと諦めているのか。
しかし子供は、気になることを率直に、しかも己の問題として、
真摯に尋ねてきます。
「こんな子供の質問に困りますね」と
他人事のように思っていてはいけない。
この質問こそ、あなた自身が生涯かけて
答えを出さなければならない後生の一大事なのだよと
仏教では説かれています。