【自利利他(1)】
仏教に「自利利他」という言葉があります。
他人を幸せにする(利他)ままが、自分の幸せ(自利)となる、
他人も生かし、自分も生きる道が「自利利他」です。
室町時代、近江の商人は、蓮如上人から仏法を聞くようになり、
自利利他の教えを理念とした商売に心がけるようになります。
人の嫌がる商売をしない彼らは「近江商人は三方よしだ」と
遠隔地の行商先でも信用を集めていき、繁栄していきました。
「三方よし」とは、売り手よし、買い手よし、世間よし。
売り手も儲かり、買い手も満足し、
世間も高い評価をする商売のことです。
口で言うほど、「三方よし」は簡単ではありません。
大企業が、下請けの中小企業に取引停止をちらつかせて、
不利な価格で叩いて買い取る「下請けたたき」が社会問題です。
大企業も少しでも利益を出すために必死なのでしょう。
中小企業も、大企業との契約を勝ち取るために
「背に腹を変えられぬ」とばかりに
安価な不良部品を偽装する事件も起きています。
それで故障が相次ぐと今度は不良部品だったことの発覚を恐れて、
大企業と下請け会社が密談の上、リコール隠しをします。
やがてそれが明るみになり、世間中からの信用を失墜し、倒産する
という事態は何度も繰り返されてきました。
今もどこかで進行中かもしれません。
「自社も良し」「取引他社も良し」「世間も良し」を貫くのは、
口で言うほど簡単ではないので、
「三方よし」を貫く商売をする人は目立ち、信用され、愛され、
長期にわたって繁栄を遂げることでしょう。
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