【老苦(1)】
仏教では、いつの時代、どこの国の人でも受ける4つの苦しみを
『四苦』と教えられます。
生苦・老苦・病苦・死苦の四つです。
今日はその中の一つ『老苦』について話をします。
釈迦が『老苦』を説かれた時の平均寿命は20歳未満ですから、
『老いの苦しみ』と聞いても、当時の人には
ピンとこない人は少なからずあったと思いますが、
今日の日本は医学、科学が発達し、
歴史上の人類が未だ経験したことのない超高齢化社会を迎え、
家族の介護など身近に『老苦』を実感する機会も増え、
人生の切実な苦しみとして実感できるようになっています。
その傾向はますます深刻化しています。
人口減少日本でこれから起きることを
カレンダーにした『未来の年表』という本が
最近売れていますが、その一部をご紹介します。
○2017年 日本人女性の3人に1人がすでに65歳以上。
○2021年 団塊ジュニア世代が50代に突入し、介護離職が大量発生
○2022年 独居世帯は3分の1超。ひとり暮らしをする貧しい高齢者
の急増が大問題に。
○2026年 「認認介護」が急増。介護する側も介護される側も認知
症という現実が待ち構える
これからの日本がどんなに大変な時代を生きることになるか、
改めて現実を突きつけられる内容でした。
もちろんかかる現状を手をこまねいているわけではなく、
政治が介護や年金の問題を論じ合うのも、
医学が認知症の薬の開発を急ぐのも、
『老苦』を何とかしようという努力なのですが、
生きる以上は、老いに向かって歩み続けるベクトルの向きを
変えることは絶対にできません。
少しでも進むスピードを遅らせようという努力に過ぎません。
科学も医学も政治も、人間のいかなる営みも、
老いる方向に向かって着実に行進する万人の憂鬱を
なんともできないのです。
どれだけ老いていっても、病が重くなっても、
そしてたとえ死が迫っていても、
その苦しみによって邪魔されない幸福があるのでしょうか。
シッダルタ太子(釈迦のさとりを開く前のお名前)が、
老いと病と死を超えた真の幸福を求めて城を出られたのは
29歳の時でした。
そして35歳12月8日、仏の悟りを開かれ、
老いと病と死によって妨げられることのない幸福を知られ、
80歳で亡くなられるまで、私たちに教え続けられました。
それが「仏教」です。
=========
仏教の教えをわかりやすく体系的にお話する
20回の無料メール講座好評配信中。