【出世本懐(1)】
ロサンゼルスで布教していたとき、
UCLA(ロサンゼルスの大学)に通う日本人の女子学生で、
仏法の話を聞きたいという方があり、
毎週一時間、個人的に話しをしていました。
今は帰国して外資系の会社で活躍しています。
その彼女は、アメリカに来て最初の二年間、
日本人の留学生を多く斡旋している短大
(コミュニティカレッジ)で学んだそうですが、
あえて日本人留学生の輪に加わらず、
現地の人や外国人留学生に積極的に話しかけ、
日本語を使わない環境に挑んだそうです。
「留学先では分からないことが多く、日本人に聞くのが
楽だとわかっていながら、そうしないのは大変だった」
と笑っていましたが、さぞ大変だったと思います。
その努力が実り、やがて現地の学生、外国人の留学生とも打ち解け、
UCLAに進学できる学力もついたのですが、
彼女の態度を快く思わない日本人留学生もあったそうです。
「一緒に行動するカルチャーは日本人独特で、
そうしない人への目線が厳しい」のだとか。
一方で彼女は、外国人のカルチャーも受け入れられない面も多く、
「私は日本人だなあ」と改めて感じたそうです。
外国人は自己主張が強く、相手の考えを理解できないとき
ストレートに否定するので、
打ち解けたと思っていた外国人の友人の言動で
傷つくこと、イライラすることがしょっちゅうだったそうです。
それである時期から肩の力を抜いて、
最初は頑なに遠ざけていた日本語で日本人と話すことをするようになり、
ストレスから抜け出すことができたとのこと。
その時に彼女が付き合っていた日本人の一人が、今のご主人です。
外国生活で学んだことは
「自分が何をしたいのか、目標は何なのか、常に確認し、
目先の人間関係に振り回されないこと」
と言っていました。
そういう視点で物事を見つめるようになってから、
哲学や宗教に関心が出てきたそうです。
しっかり学べる環境を求めていたとのことで、
私とのご縁もできたと言っていました。
人間関係の悩みに卒業はないので、
悶々とするときはどんな人にでもありますが、
そんな時は
「自分は何のために生きているのか」
常に原点を確認することが大事なのでしょう。