【諸行無常(1)】
「僕には君が必要なんだ」
「あなたでないと、私はダメみたい」
ドラマに出てきそうなセリフです。
本当に好きな人にこう言われたら、舞い上がってしまうでしょう。
しかし世は無常です。
いつまでも相手が自分を好きなままでいてくれるか分かりません。
自分もまた、相手をいつまでも好きなままでおれるか分かりません。
二人を取り巻く環境も変わりますし、
何より二人の心が変わりますから。
恋の終わりは二通りのケースがあります
【A】相手が私を好きでなくなった時
【B】私が相手を好きでなくなった時
あなたは今までを振り返って、どちらのケースが多かったですか。
【A】相手が私を好きでなくなった時を
「捨てられた」「ふられた」「裏切られた」などと表現され
【B】私が相手を好きでなくなった時を
「冷めた」「あきた」「ときめかなくなった」と言われたりする。
いずれにしても、始まりはあんなにもロマンチックだったのに、
終わりは辛く、悲惨なケースが多いものです。
お互い「せーのーで」と同時に相手のことが好きでなくなれば
円満に別れられて、そこに苦しみは伴いませんが、
たいていはお互いの心が変わるのに時間差があります。
一方はまだ好きなのに、一方は冷める、という状況になるので、
【A】の状況になれば、別れたくないのに別れねばならない辛さが生じますし、
【B】の状況になれば、別れたいのになかなか別れられない苦悶が起きます。
【A】【B】いずれにせよ苦しいことですが、
生きている以上、この苦しみは避けられようもありません。
なぜなら私たちの心は変わり続けるからです。
「諸行無常」とは、“すべてのものは例外なく、変化する”ということですが、
中でも人の心はとても変わりやすいのです。
源氏物語でもシェークスピアでも、古今東西の作品には
心が変わって苦しむ人間の姿が常に描かれてきました。
これはどれだけ文明が進歩しても変わりません。
どこの国でも、どの人種でも変わらない、人間の普遍的な苦しみなのです。
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