【名誉欲(1)】
褒められたい、認められたい、大事にされたい、という心です。
どのコミュニティにも、目立ちたがり屋はいますよね。
自分のことばかり話題にする人です。
空気が読めないのか、聞いてもいないのに、
相手の話の腰を折ってでも、
「オレが」「私が」と自慢話を始める。
「自分が話題の中心にいないと気が済まないのか、この人は」
と周りはあきれているのですが、
つい自分のことばかりしゃべるのは、
周りから認められたい、ほめられたい、評価を受けたいという名誉欲がそうさせるのです。
では自分のことは語らず、人に合わせる、もっぱら聞き役の人は、
奥ゆかしくて、人格的に優れているからかというと、そうともいえません。
こうして静かにしていれば、
人から悪口言われることもないし、
恥もかくことはないし、
おしとやかな人と好感持たれるだろう
と考えた上での振る舞いですから、
やはりそれも『名誉欲』です。
名誉欲 に動かされている、という点において
目立ちたがり屋とおとなしい人とは、
何ら変わるところはありません。
名誉欲を満たそうとする手練手管に、
その人の感性や頭の善し悪し、性別や容姿、
生まれ育ち、環境、文化、生活スタイル、しつけ、教育などで
違いが出るだけのことです。
一言で言えば、煩悩の表現方法の違いです。
煩悩に動かされている人間の実態は、
少しも変わるものではありません。
言うも言わざるも煩悩、
裁くも裁かれるも煩悩、
煩悩の固まりの人間に、何の差別もありません。
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