【食欲(2)】
仏教で説かれる『食欲』は、
『貪欲』という煩悩の一つに数えられています。
食欲は私たちを悩ませ煩わせるものだと、釈迦は説かれているということです。
これはお釈迦様に言われるまでもなく、
人類にとって何千年にわたって最大の敵は「飢饉」だったので、
人間は、自らの持つ「食欲」が強いものであるか、
その欲のためにどれだけ苦しみ悩んでいるか、
骨身にしみて理解していました。
いつでも食べたい時に食べられ、飲みたい時に飲めたら、どんなに幸せだろう、
そうなれば食欲に煩わされることなく生きられるのに、
とどんなにこそあこがれたことでしょう。
しかしそれは叶わぬ夢でした。
ところがこの100~200年の間に劇的に事態は改善し、
現在では、世界の一部の地域を除いては、飢餓による死亡はほとんど無くなりました。
冷蔵庫を開ければ、お湯を注げば、缶詰開ければ、ビニールの封を開ければ、
お手軽に空腹を満たすことができます。
では現代社会に生きる私たちは『食欲』という煩悩から解放されたでしょうか。
実はそれは今も変わりません。
「飢餓」で苦しむことはなくなっても、
代わりに「過食」が深刻な問題になって私たちを苦しませているからです。
2014年、世界で太りすぎは、21億人です。
2010年、飢饉と栄養不良で亡くなった人が約100万人に対して、
肥満が原因で亡くなった人300万人以上いました。
食べ物が足りなくて死ぬ人の数を、
食べ過ぎで死ぬ人の数が史上初めて上回ったのです。
ケーキ、アイス、スナック菓子、ハンバーガー コーラなど
毎日のように口に詰め込み、その結果、生活習慣病を患い、
それでもなお食べたいと執着し、
自分で自分の首を絞めていってしまう人がいかに多いことか。
これも『食欲』のなせるわざです。
現代世界では戦争による12万人、犯罪犠牲者が50万人に対して、
糖尿病で亡くなった人は150万人です。
今や砂糖の方が火薬よりも危険、なのです。
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