【旅人(1)】
お釈迦様は人間を旅人に例えられています。
これはお釈迦様の専売特許ではなく、古今東西、多くの詩人によって、
人生は旅に例えられ、人間は旅人に例えられてきました。
今日でも多くの歌謡曲に、人生を旅、人間を旅人、に譬える歌詞がよくあります。
たとえば美空ひばりの『川の流れのように』。
「生きることは旅すること」というフレーズで始まりますね。
人間は村人ではありません。旅人なのです。
村人ならその村に生まれ、その村に育ち、その村で田畑を耕し、その村に所帯を持ち、その村で死んでいきますが、
人間は旅人ですから、一カ所に止まってはおれません。
一つの村から次の村、次の村から次の街へと、どんどん旅をしていきます。
その旅の途中に、すごく歓迎され、居心地のいい村もある。
「いいなぁ、いつまでもここに居たいな」と思っても、
旅をしている以上、いつまでもその村に居続けることはできません。
逆によそ者扱いされ、疎んじられる村では、
「いやだな、早く立ち去りたい」と思いますが、
旅をしているのだから、そこにいつまでもいなければならないことはありません。
しばらくの間で、やがて離れる時があります。
人生もまた然り。
私たちはにとって、幸せな時というのもいつまでも続きませんし、
逆に苦しくて不幸で辛い時もいつまでも続くものではありません。
昨日から今日、今日から明日へと、私たちは時間の旅をしています。
松尾芭蕉が「月日は百代の過客である」と言ってるように、
どんどん月日は過ぎていきます。
去年の旅が終わり、今年の旅が始まったと思ったらも、もうまもなく桜咲く4月。
私は昭和生まれですが、昭和から平成、平成から次の元号と、
どんどん移り変わりながら私たちは生きております。
この旅は止まることはできません。
いつまでも平成31年3月27日にいたいと思っても、それはかないません。
抵抗できない強い力で、ゴーっと音を立てて月日は流れていきます。
私たちは村人にはなり得ません。
時を移ろう旅人なのです。
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