【為政者(1)】
米中覇権争いが宇宙、貿易、通信、資源、海洋等で勃発しています。
アメリカには、あの自国優先主義、力による横暴、
トランプ大統領自身に垣間見える人種差別意識など
好きになれない点が多々ありますが、
それ以上に今の中国に警戒してしまうのは、
反対意見を許さぬ、あの政治体制と、人権を軽視した思想です。
習近平主席や共産党を批判したり、茶化したりするのを一切許さず、
SNSでそういう発言をしようものならすぐに削除され、
発言した者は目をつけられ、拘束、逮捕され、死刑もあり得ます。
しかもそういう都合の悪いニュースはまったく報道されないあの陰湿さは、
世界の次世代リーダーにするにはまったくふさわしくないものです。
トランプ大統領はスキャンダルを暴かれ、マスコミに叩かれ、
安倍首相も疑惑をマスコミや野党に追及されますが、
ああいうことが言えなくなれば、民主主義は崩壊です。
こんな火急の国際情勢で、スキャンダルだの疑惑だの、国会で時間取ってる場合か、という意見も分かりますが、
力を持つ者に弱者が何も言えなくなり、
多数派の前に少数派は黙るしかない、迎合するしかない、というのなら、
そもそも国会はいらなくなり、
言論の自由が束縛される今の中国のような政治体制を認めることになってしまいます。
日本にもかつて言論の自由が許されない時代がありました。
アメリカとの開戦時、国会も世論も威勢のいい意見が大勢を占め、
敗戦の可能性などとても言及できない雰囲気となり、
戦局が悪化した際にも、降伏の是非を論じようものなら、
たちまち「士気を落とす非国民」として糾弾されました。
沖縄が落ちても、軍部は「本土決戦」「一億玉砕」と叫び、
当時連合国が突きつけたポツダム宣言に、
讀賣新聞では「笑止、対日降伏條件」、
毎日新聞では「笑止!米英蒋共同宣言、自惚れを撃破せん、聖戰飽くまで完遂」
と一面で書き立てています。
全国の各都市が空襲で焼け野原になり、ソ連が参戦し、原爆が落とされるまで、
それは続いたのです。
権力者に何も言えない世の中、少数意見を排除する世の中は、必ず悲劇が起きます。
悲劇の犠牲者は常に弱者です。
権力者は、力のない者の気持ちを察することができません。
利用することしか考えてないからです。
権力者といっても人によるでしょう、と思われるかもしれませんが、
これは「例外なく」です。
最初はそうでなくても、権力を持つと、人はそうなります。
自分の心をまじめに見ると分かると思います。
もし自分の思い通りになる世界ができたら
自分を悪く言う者の意見に寛容でいられるでしょうか。
権力を持つと、本性が露わになります。
権力がないときは、本性を出すと皆から攻撃されるので、
本性を出さないよう慎んでいますが、
権力を持つと、誰も何も言わなくなり、
それどころか阿諛追従する者に囲まれるようになるので、
私利私欲を押し通していてもそれを正義だと思い込んで突き進んでしまうので、
恐ろしいのです。
親鸞聖人はお弟子に向けたお手紙で
「為政者(権力者)に近寄り、その力を借りて、仏法を伝えようなどと決して考えてはならない」
とクギを刺されています。
人間の心の実態をよく知っておられたからこそ、
権力を持つことの恐ろしさもよくよく分かられたのでしょう。
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