【今日の仏語】は『有無同然』の1回目です。
世界遺産の五箇山合掌造り集落は、
私の家から車で2時間足らずなこともあって、
何度か行ったことがありますが、
私としては、富山で一番の観光スポットだと思っています。
あの一つ屋根の下に家長を中心に30人!近く住んでいたそうです。
部屋はふすまで区切られているだけで、
食事、団らんは1階の囲炉裏のある大広間で一緒だったというのですから、
人間関係が相当大変だったのではないでしょうか。
そんな家に嫁いだら、そこはすでに
舅、姑、小舅、小姑、甥、姪など勢揃いしていて、
寝起きを共にしなければならず、そのストレスや如何ほどか、
お嫁さんの苦労がしのばれます。
そんなお嫁さんが、夫婦水入らずの生活が一般的である現代の暮らしを聞いたら、
どんなにこそうらやましく思うことでしょう。
夢の暮らしだ、なんて幸せな時代なんだ、と思うかも知れません。
今でも親と同居したために、嫁姑問題が勃発し、
苦しむ嫁、同じく悩む姑、そしてその両者から「なんで私がこんな思いをしなければならないの」と責められる夫、
三者三様で苦しむ家庭もあります。
じゃあ別居したら問題解消かといえば、また違った問題が起きます。
夫婦共働きだと、子供の幼稚園の送り迎えに困りますし、
夫婦げんかがほどほどで止まらずエスカレートしてしまうとか、
同居の時にはなかった問題が多々起きて、やはり悩んでいます。
合掌造りのような大所帯の暮らしでは
親が子供を虐待死させる事件とか、
引きこもりで親に暴力を振るう子供とか、
出会い系サイトで寂しさを紛らわせる、
なども起きにくいですし、
親族が仕事の斡旋をしてくれたり、縁組みの世話をしてくれたりして、
孤独な若者も今よりも少なかったようにも思いますし、
独居老人の孤独死という悲哀も少なかったでしょう。
どっちもどっち、「隣の芝は青く見える」で、苦しむ姿は変わりません。
これを仏教では「有無同然」といいます。
“有っても、無くても、苦しみ悩みは変わらないですよ”
と教えられたお釈迦さまの教えです。
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