親鸞に学ぶ幸福論

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西城秀樹の訃報に0.3ミリの幸福と知る

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【火宅無常の世界(1)】

 

小学生の時、いつもテレビで慣れ親しんでいた人だったからでしょうか、

西城秀樹の訃報には、一瞬虚を突かれたような驚きがありました。

その後テレビで報じられる内容から、さらにドキリとしたのは、

彼が48歳で脳梗塞を起こしていたことでした。

48歳といえば、自分と同年齢。

それまでは脳梗塞は高齢者の病気だと思っていたのですが、

自分もいつ脳梗塞になってもおかしくないのか、と思い知らされました。

 


脳梗塞は、脳の血管がつまる病気です。

脳の血管が破れれば、脳出血、クモ膜下出血です。

なんでも脳の血管はわずか0.3ミリ前後だそうで、

その0.3ミリの血管が破れると、バットで頭を殴られたような痛みが襲うとのこと。

脳という臓器は何と繊細なのでしょう。

 


脳には、0.3ミリの血管が網の目のように張り巡らされており、

その一つが破れたり、詰まったりすれば、脳梗塞や脳出血で昏倒、

そのまま意識戻らず死を迎えるか、半身不随になるのです。

 


いつ何時、脳の血管が詰まったり、破れたりしても、

そりゃ0.3ミリの細さなのですから、

今晩にでもそうなることは十分あります。

 


私の知り合いで脳梗塞で飲み込む力がなくなり、

胃ろう(胃から栄養を摂取する)になった人がありますが、

もしそうなってしまったら、今までこれがあれば幸福だと

30年、40年かけて必死にかき集めてきた金や地位、名声や健康などは、

うたかたの泡のように消え、

「こんな人生何なのか」と嘆き悲しむことになります。

 


これだけ貯金があれば、あと20年は余生を楽しく暮らせる、

旅行に行って美味しいものでも食べて過ごそうと思っていても、

その幸福は20年保つどころか、

わずか0.3ミリの脳の血管が破れただけで失います。

金も名誉も財産も、わずか0.3ミリの幸福なのです。

 


この私たちのはかない人生を、親鸞聖人は『歎異抄』に、

「火宅無常の世界」“火の燃え移った家のような不安に満ちた世界”と仰り、

「火宅無常の世界は、万のこと・皆もって、空事・たわごと・真実あることなし」

と喝破されています。

 

 

 

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