親鸞に学ぶ幸福論

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「多忙な人は例外なくみじめである」と断ずるセネカの悲哀とは

 

 

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【出世本慨(1)】


「お忙しいんですね」と言われると、

目尻が下がり、機嫌がよくなる人があります。

「休日がなくって」「時間がなくって」と、

忙しさ自慢をはじめる人もあります。

おそらくそういう人は、

「忙しい=評価されている」という思い込みがあるのでしょう。

 


ところが古代ローマ帝国の政治家であり、哲学者のセネカは、

「忙しい人」に対して全く逆な見解だったようで、

「誰彼を問わず、多忙な人はみじめである」との言葉を遺してます。

 


このセネカの言葉は、

手帳が予定で埋まり、頻繁に電話やメールがあるのが、

充実した人生だと信じ込んでいる人には、

受け入れがたい言葉かと思います。

 


さらに引き続きセネカは、こう続けます。

「中でもみじめなのは、

 自分自身の用事でもないことに苦労したり、

 他人の眠りに合わせて眠ったり、

 他人の歩調に合わせて歩き回ったり、

 何よりもいちばん自由であるべき愛と憎悪とを

 命令されて行う者たちである」

 


人の顔色をうかがっては、神経をすり減らし、

そのために時間に追われている人生を、

「最もみじめだ」と彼は言います。

どうしても成し遂げたい志があって、

人生においてこれだけは果たさねばならないという目的があって、

そこに向かって邁進している人ならば、どんなに忙しくてもいい、

ところがほとんどの人はどうだ、

自分自身の用事でもなければ、やりたいことでもない、

さして意味があることとも思えないことばかりに

貴重な人生の時間を使ってクタクタになっているではないか、

と辛辣です。

 


しかしセネカの生涯を知る人ならば、

この彼の言葉に、他者に向けられた批判、というよりも、

自嘲めいた響きを感じ取ることでしょう。

 


セネカはローマ皇帝最強の暴君、ネロの側近の一人として、長く仕えました。

ネロの逆鱗に触れ、死刑、毒殺された者は数知れず、

それは家族や側近も例外ではありませんでした。

政治権力の中枢で繰り広げられる、

さまざまな陰謀や謀略をくぐり抜けながら

ネロの側近として長年仕え続けたセネカの心労はいかばかりだったか、

まさに

「他人の眠りに合わせて眠ったり、他人の歩調に合わせて歩き回ったり」

の日々だったに違いありません。

 


セネカが、「中でもみじめな者」として書いている

「何よりもいちばん自由であるべき愛と憎悪とを、命令されて行う者たちである」

という言葉にも、自己の境遇への深い嘆きがあったと思います。

誰を愛し、何を守り、どんなものを求めるか、

もっとも自由であるべき心の中まで、

「あれを好きになれ、そして守れ」

「これを憎め、そして殺せ」と、強制される苦々しさは

彼にとって耐えがたいものがあったのでしょう。

 


晩年、セネカは、ローマ帝国から得た財産をすべてネロ帝に返還し、

政治の世界から退こうと画策しますが、

そのことがかえってネロ帝に謀反を疑われることとなり、

最後はあえなく自殺させられます。

 


政治の力関係に頭悩ませ、様々な調整をし、

時に陰険な謀略に手を染め、

一時として気を許せぬ多忙な日々は、

ただみじめなだけだった・・・・・・

自殺するときのセネカの胸に去来したものは、いったい何だったのでしょう。

 


何のために生まれてきたのか

何のために生きるのか

しっかり見据え、そこに向かって進める人生は、幸せなことです。

セネカの遺した言葉から、しみじみと思い知らされます。

 


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ばたばたして案内が遅れました。

今度8月9日~11日、久しぶりに大阪と京都に行きます。

急きょの案内ですが、公開講座も設けました。

 

大阪と京都の講座の案内です。

10日(金)は大阪で、仕事帰りでも参加できるよう、夜7時半からです。
https://www.kokuchpro.com/event/ec62f0b51d1f7adabae1a5e38923bd4e/

11日(土)は京都です。
https://www.kokuchpro.com/event/7e9b228b49e9b031345450bb2940aa1c/

前後の時間帯は、希望される方があれば、

特に講座に参加できないけれども話を聞きたいという方にお会いして、

お話しできればとも思っています。

よろしくお願いいたします^^

 

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