2日間にわたって、苦しい時は気を付けよという話をしましたが、
また同時に気を付けなければならない時がもう一つあります。
それは物事が上手くいっている時です。
成功した時、褒められた時、大金を手にした時など、
舞い上がるような事態は気を付けねばなりません。
「好事魔多し」と昔からことわざにあるとおりです。
調子いい時は慢心がでてくるからです。
これが怖ろしい。
仏教では六大煩悩の一つに「慢」があげられていますが、
108の煩悩の中でも特に私たちを煩わせ、
悩ませる6つの中の1つなのです。
○調子いい時は、道を踏み外しやすい時です。
「これくらいしてもいいだろう」と思ってしまうのです。
○調子いい時は、横柄になり、
人を傷つけるようなことを言ってしまいます。
○調子いい時は、人が呆れるような、
みっともない自慢話をひけらかしてしまいがちです。
○調子いい時は、自分を過信して、慎重さに欠き、
ふだん気づく危険もわからなくなります。
車の事故、忘れ物など、こんな時によく起きます。
○調子いいと、人の意見も聞けなくなります。
そして自分の意見を押しつけようとします。
意見を聞かない者に腹が立ち、
自分を指摘する者にも腹が立ってきます。
○調子いいと、これで大丈夫と思い、
向上もできません。
昨日は苦しい時(逆境)に気を付けよ、
今日は調子いい時(順境)に気を付けよ、
という話をしました。
順境、逆境、共に「ここだなあ」と
奥歯かみしめて事に当たらなければならない時なのです。
無常の世。
調子いい時は続きません。
苦しい時も続きません。
そう思いましょう、ではなく、それが揺るがぬ事実です。
良くなるのは悪くなる前兆、
悪くなるのはよくなる前兆なのです。
「沈んで屈するな 浮かんでおごるな」
順逆共に心していきましょう。