親鸞に学ぶ幸福論

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相手の心が分かることは幸せなのか

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サトラレ』という映画があります。

半径10メートル以内の人に、自分の心がさとられてしまう

という特殊な人の話です。

ある登場人物は、自分がサトラレだと分かった時から、

極度に人と接するのを恐れ、

無人島でひきこもりの生活を送るのでした。

 

気持ちはよく分かります。

自分がもしサトラレだったら、とても人前に顔を出せない。

全裸で人前に出る以上に恥ずかしく、恐ろしいことでしょう。

家族や恋人の前にも出れなくなります。

誰だって、サトラレにはなりたくない、と思うでしょう。

 

では逆に人の心が分かってしまう能力を手にしたら、どうでしょう。

「それはうれしい」と言う人が多いと思います。

そんな才能を持ったら、対人関係において、

あらゆる場で優位に立てます。

ビジネスの交渉でも、恋愛の駆け引きでも、圧倒的に有利です。

 

しかしよくよく想像してみると、

これもまた恐ろしい一面があります。

幼少の頃から、親が何を考えているか、

全部分かってしまったとしたら、どうでしょう。

お父さんとお母さんが心でいがみ合っていることも、

お婆ちゃんとお母さんの確執も

あるいは子である自分に向けられる一切の感情も

全部分かってしまったとしたら、

その子の心は、健やかに成長できるだろうか。

 

家庭においてだけではありません。

小学校の教師が授業しながら、

心の中で、他の教師をののしっていることも、

近所のおばさんが買い物しながら、

寝たきりの家族に殺意を抱いていることも

全部分かる。

 

大人になっても、上司の本音も、部下の本音も

全部聞こえるとしたら、どんな気持ちで働けばいいのだろう。

目の前の自分には、口や態度では決して表わさない、

その人の本音の声。

友達の本音。妻の本音。子供の本音。。。

 

普通の人間は、口や態度から

「嫌われてるんだろうな」と察することはあっても、

その本音を聞くことはない、

想像しているだけだから、ぎくしゃくしながらも

やっていけます。

その人の本音が常に聞こえている状態で、

それでいて普通に会話することは可能でしょうか。

果たしてそこに、愛情や信頼が育まれることがあるのだろうか、

と危ぶまれます。

 

サトラレも嫌ですが、人の心が分かっても、

やはり無人島に行きたくなるような気がします。

 

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