【鬼神(1)】
■日本では、建築工事の最初に、
「地鎮祭」という、神主がしめ縄張って、棒を振って、
祝詞をあげる、一連の儀式を執り行うのが、
半ば常識のようになっています。
スカイツリー着工の際も、地鎮祭があり、
テレビで報道されたのを覚えています。
■工事の無事や安全と建物や家の繁栄を祈るための、
浄めの祓い、とのことですが、
科学の粋を凝らした建築物の着工の始めに、
地縛霊の浄めもないだろうと思うのですが、
「ひょっとしてそんなこともあるかも」との不安があるのか、
「地鎮祭をしなかったからこんなことになったんだ」と
責められるのが嫌なのか、
なにしろ「土地の霊が禍福をもたらす」という日本独特の信仰が、
今日の日本人の多くの人の心にある現われでしょう。
■仏教で排斥される迷信の一つに、鬼神信仰があります。
鬼神信仰とは、死んだ人間の霊が、特定の土地、あるいは
大木や石などに鎮まっていて、
生きている人間に禍福を与える力がある、という信仰です。
それらの霊を怒らせないよう、社を建てたり、
喜ばせようと、酒や肉を供えたりします。
■釈迦はこのような鬼神信仰を徹底して破られ、
「一切の禍福は、己の過去の業(カルマ)による」と
徹底して説かれました。
■ところが最近では、仏教の僧でありながら、
鬼神信仰に便乗して、
地縛霊を浄めるために読経する商売をする輩もあります。
釈迦の教えのイロハもわかっていない、僧にあるまじき実態です。
いや、今日に始まったことではない、
800年の古、親鸞聖人も
「かなしきかなやこのごろの 和国の道俗みなともに
仏教の威儀をもととして 天地の鬼神を尊敬す」(悲歎述懐和讃)
“なんと悲しいことか。現今の日本の僧侶も在家の者も、
外見は仏教を信じているように装っているが、
内心は、みな鬼神に仕えている”と悲嘆なされています。
■霊の浄めよりも、豊洲新市場で問題になっているような
土壌汚染の浄めにこそ、気を張って臨んでもらいたいものです。
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