【瞋恚】
■「なんであの人はああなんだ」「なんでこいつはこうなんだ」
と細かいところに気がつき、厳しく指摘する人があります。
人が気付かないところまで気が付くのですから
職場では有能な「デキる人」なんですが、
歯に衣着せず人を指摘するので、
その人のせいで職場の空気が悪くなっている、
そんなケースはよく見受けられます。
聞いててハラハラするような言い方で
憤りや不満をぶつけているのですが、
そんな人が上司なら部下は萎縮するし、
そんな人が部下になれば上司批判が始まりそうです。
いずれにしてもやりにくくて仕方がない、
やがては孤立し、職場に居づらくなってしまうことでしょう。
そういう人は結局「気がつく」人ではありますが
「気がつかえない」人なのでしょう。
■人の欠点に気が付きながらそのフォローをしたり、
仕事の振り分けに気遣ったり、
たとえ注意するときでも、その人を傷つけないよう
配慮した言い方に心がける人こそ、真に「デキる人」です。
■スティーブン・コビーの『七つの習慣』にこの様な文章があります。
『結婚生活に問題を抱えているとすれば、
妻の欠点を延々と指摘することに何の意味があるだろうか。
それは単に自分自身を責任がない、
無力な被害者に仕立てるだけであり、
自らの行動する力を放棄しているにすぎない。
やがては、妻に影響を及ぼす力も失(な)くなるだろう。
叱責し、批判し、とがめ続ければ、
彼女はあなたの思いやりのなさを理由に、
自分の悪い行動を正当化できると感じるだろう。
あなたの批判は、改めようとしている妻の行動よりも有害なのだ』
耳に痛い文面です。
■世界のパナソニックを一代で成した松下幸之助は、晩年
『事業に成功した要因は何ですか』
と問われて、
『自分に学問がなく、身体が弱かったこと。
そのため、社員の誰もが自分より偉く見えたし、
安心して仕事を任せることができた。そのことがよかった』
と答えました。
周りに不平不満を持ち、毒をまき散らせば、
必ず業績は悪くなる。
逆に自分を支えてくれる周りに感謝の心が高まれば、
正比例して成功する。
一貫した松下幸之助の信念からでた言葉です。
■仏教では怒りの心のことを『瞋恚』といい、
三大煩悩の一つに数えられています。
たいへん私たちを煩わせ、悩ませ、不幸にする心だからです。
「かんしゃくの くの字を捨てて ただかんしゃ」
お互い自戒してまいりましょう。
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