■「骨折れば より強くなる 何事も」
骨折して再びくっついた骨は、より太く、丈夫になると聞きます。
失敗したり、挫折したりして、自己嫌悪でくよくよしたりする時に、
思い出したいことわざです。
■今年のリオ五輪で全階級メダル獲得の偉業を成し遂げた、
男子柔道の井上康生監督は、
「選手たちを誇りに思う」と涙で声を詰まらせ、
リオ五輪の名場面の一つとなりましたが、
その涙の裏には、プライドもかなぐり捨てての
なりふり構わぬ練習がありました。
4年前のロンドン五輪で、男子柔道が
初のメダルなしに終わった時、井上監督は
「このままではヨーロッパの柔道には勝てない」と痛感し、
ヨーロッパの柔道を積極的に学んだとのこと。
サンボなど他国の格闘技も取り入れます。
日本のお家芸であり、
「きれいに勝つ」を信条にする日本柔道が
他国の「JUDO」を学ぶというのは、
勇気の要る決断でした。
このたびの躍進は、「このままでは勝てない、と痛感した」と言う
井上監督の挫折、屈辱が元になっていると感じました。
■幕末の日本では、外国人を日本から追い払えと
「攘夷」の嵐が吹き起こりましたが、
「薩英戦争」「下関戦争」で外国に完敗した薩摩藩と長州藩が、
刀や火縄銃などの日本の武士では、欧米に勝てないと痛感し、
倒幕の中心となり、明治政府が樹立しました。
■慢心が叩き折られた時が、向上と躍進のスタートであるのは、
どの分野でも同じだと知らされます。