【業力(3)】
■『業力(ごうりき)』という言葉があります。
『業』は普通は(ぎょう)と読むところですが、
仏教では(ごう)と読みます。
「業の深い人だ」とか、「業な話だねえ。」と使われたりします。
インドの言葉では「カルマ」といいます。
お釈迦様はインドの方ですから、サンスクリット語で「カルマ」、
これを中国で「業(ごう)」と訳されました。
日本の言葉では「行為」のことです。
この業には運命を引き起こす力があると釈迦は説かれました。
これを「業力」といいます。
■今年も残すところあと一ヶ月、
振り返れば2016年もあなたの身の上に
悲喜交々、様々なことがおきたことでしょう。
これら一切の運命を引き起こした力が、「業力」なのです。
『業の力は大象百匹よりも強い』と釈尊は仰です。
当時インドで一番力が強いのが象だったのですが
その象百匹より強い、というのですから、
誰も止められぬ、ものすごい強い力で
ぐいぐいと私たちに運命を引き起こすのです。
なぜあの場であんな事態になってしまったのか
なぜあの人とこんなことになってしまったのか
理屈ではどうにもならない業の力で、
その場に引き込まれてしまう。
引き込んでしまうのです。
■パワースポット、パワーストーンといいますが、
場所にパワーがあるのではない、
石にパワーがあるのでもない、
業(行為)にパワーがある、と釈迦は一貫して説かれます。
だから仏教で、石や方角はまったく問題にしませんが、
『業』(己の行為)については
徹底して見つめていくのは、そのためです。