【布施(1)】
■医者は、患部が悪性かどうか、急いで処置すべきかどうか、
判断できなければ務まりません。
大きく腫れていても、悪性でなければ後回しですし、
小さなものでも、悪性なら急いで対処する。
その判断は、素人では分かりません。
医者の重要な仕事です。
病気を治せるかどうかの前にまず大事な、
医師にしかできない仕事です。
悪性かどうか、自分の手に負えるものかどうか、
という判断ができないようでは、医者として失格です。
■管理職なら、部下のミスにも、
悪質ではないものと、どんな小さなものでも悪質なものと
判断していかねばなりません。
教師が生徒に接するときでも、親が子供に対するときも、
同じことが言えます。
・厳しく言わなければならないとき、
・優しく諭せばいいとき、
・不問にしてもいいとき、
自己の感情に振りまわされず、的確な判断が求められます。
■人のウソでも、悪質かどうかを見抜かねばなりません。
ウソといっても、ピンからキリまでいろいろあります。
捨てておけないウソと、受け流しておけばいいウソとがあります。
上に立つ者はそういう判断ができねばなりません。
時には刺し違えるような覚悟で、
厳しく叱らねばならないときもあれば、
何も言わず、暖かく励ました方がいいときもあります。
ここはアクセルを踏むときか、ここはブレーキを踏むときか、
問題に応じて、相手の心に応じて、
的確に接することができる人が、人の上に立てる人といえましょう。