【意業(1)】
■各界で功績を残した評論家、桑原武夫氏は
好奇心の塊のような人でした。
氏が、研究者仲間と一泊旅行に出かけ、
バスを降りて目的地まで2キロほど野道を歩く、
その道中のことを書いています。
何の変哲もない田舎道を、他の研究者は
「道がしんどかった」と言うだけの感想でしたが、
桑原氏は実に道中を楽しんでいます。
「両側には麦がよく生長している。
小川の縁にカキツバタが美しく咲いている。
おもしろいところに、カキツバタがあるな。
それから農家の横に、花はつけていないが梅の木がある。
少し向こうの農家では屋根をふきかえており、
小さな水たまりで子供がカエルを釣っている。
とんぼが飛ぶ。
そうしたいろんなことを見ながら歩いていった」
こんな風に同じ2キロの田舎道でも、
しんどかった、と言うだけの人と
さまざまな新鮮な驚きに満ちている人とでは、
人生も大きく変わるだろうなと感じます。
■あるお笑い芸人から聞いたことです。
雨が降ってきたので、傘を開いたところ、
大きく破れており、使い物にならなかった、とのこと。
こんな時、普通の人は「ついてない」と不快になりますが、
笑いのネタを常に探しているお笑い芸人にとっては
「これは自虐ネタに使えるかも」とワクワクしてきて、
頭が高速回転を始めるとのこと。
多くに人が嘆く出来事も、笑いに変えるプロ根性に感嘆します。
「笑いにしなければ、オレの不幸が浮かばれない」
と言っていました。
■庭の昆虫、花や石など身近なものをモチーフに、
面と線だけで構成された独特な画を多く残し、
「画壇の仙人」と言われた画家の熊谷守一は、
「たとえ監獄でも石ころ一つを見ていれば、何ヶ月でも暮らせる」
と言っています。
■刺激の多い、ワクワクした環境にするのに、
どうやら風光明媚な観光地も、
アトラクション満載のテーマパークも要らないようです。
心一つに、人生を豊かにする無限の可能性が秘められている、
といえましょう。
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