【我慢(1)】
池上彰が「ネット空間は上級者のメディア」と言っていました。
とんでもない誤報をつかまされる危険性があるから、
というのが、その理由だそうです。
何度も「裏をとる」本や新聞やテレビの情報と違い、
ネットの世界は玉石混交です。
最新の貴重情報もありますが、くだらないウソ情報も多く、
トイレの落書きでしか書けないような差別中傷も
まかり通っています。
何が玉で、何が石か、より分ける眼力が求められるから、
「上級者のメディア」なのでしょう。
インターネットの世界では
「プリズム効果」の危険性も指摘されるようになりました。
「プリズム効果」とは、特定のものだけが大きく見え、
他のものが見えにくくなることです。
新聞やテレビと違ってインターネットでは、
見たくない情報には触れずに済みます。
そして自分が知りたいことや自分の考えを補強する情報が
欲しければ、いくらでも見つけることができます。
SNSなら、自分の気に入らない意見はフォローを辞め、
自分の気に入る意見を発信している人だけフォローすれば、
自分と違う意見や考え方は、ネット上に存在していても、
なかなか目に入らなくなり、視野の狭い人間を生み出すのです。
その昔、カエサルは
「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。
多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」
と言いましたが、現代社会はインターネットの出現により
カエサルの言葉はいよいよ重みを増しています。
仏教では私たちを苦しませ、悩ませる煩悩の一つに
「我慢」が説かれています。
今日では「忍耐」と同じ意味で使われますが、
本来の意味は【己の考えを正しいと押し通す自惚れ心】です。
「我慢」によって失敗し、苦境に陥る人が多い
と釈迦は説かれています。
インターネットの発達した現代に生きる私たちは、
特に「我慢」に気をつけなければならないのでしょうね。
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