【人身受け難し(1)】
カルロス・ゴーン氏の逮捕は、電撃でした。
氏が羽田に到着するや否や、
東京地検特捜部の捜査員6~7名が乗り込み、
罪状を説明、任意同行を求め、その日のうちに逮捕されました。
ゴーン氏はその日の夕食のレストランを予約していたというのですから、
彼にとっては全くの想定外の逮捕劇だったでしょう。
年収何十億円と稼ぎ、世界中にいくつもの豪邸を持ち、
プライベート・ジェット機でそれらの豪邸を行き来する日々が
一転、三畳一間で寝起きする生活になり、
すでに一ヶ月以上拘留が続いています。
今、どんなことを考えているのでしょうね。
米フォーブス誌に「最も多忙な男」と呼ばれた人ですから、
この数十年、静かに自己を振り返る時間もなかなか取れなかったことでしょう。
ある意味、こうでもしてもらわなかったら得られなかった、
人生における大きなチャンスを受け取ったといえるかもしれません。
「子供の時、本当に自分が望んだ人生を歩んでいるのか」
「オレはいつ死んでも後悔のない生き方をしているか」
「自分にとって本当に大切な人は誰なのか」
「何を失っても、失いたくないかけがえのないものは何なのか」
「何のためにオレは生まれてきたのか」
こんな自問自答をできる時期は、長い人生にもなかなかないものです。
荒くれ者で手のつけられなかった宮本武蔵が、
18歳から21歳までの3年間、
書物の積まれた開かずの間に幽閉された際、
沢庵和尚がこう諭す場面があります。
「この暗黒の一室を、母の胎内と思い、生まれ出る支度をしておくがよい。
肉眼で見れば、ここはただ暗い開かずの間だが、よく見よ、よく思え、
ここには和漢のあらゆる聖賢が文化へささげた光明が詰まっている。
ここを暗黒蔵として住むのも、光明蔵として暮らすのも、ただおぬしの心にある」
このたびのゴーン氏の三畳間も、
失意と怒りとうらみの暗黒蔵となるか、
かけがえのない人生の転機となる光明蔵となるか、
彼の心如何にかかっている、といえるかと思います。
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