【お盆(1)】
まもなくお盆の季節です。
祖先の霊が家族の元に帰って来るとされるお盆の時期に
墓参りしたり、僧侶が各家を訪問し読経して回ったりするので、
お盆は仏教由来の行事だと思っている人がありますが、
それは大きな間違いです。
確かに「お盆」という言葉の由来は、
『盂蘭盆経(うらぼんきょう)』という仏典ですが、
この経典は、仏法を説く僧侶に布施をする功徳の尊さを教えたお経であり、
死んだ祖先の追善供養を勧めたものではありません。
そもそも本来の仏教の教えに「祖先の霊が帰ってくる」という教えはないのです。
仏教では、死ぬと己の業(カルマ)に応じて輪廻転生する、と説かれており、
死んだ祖先がずっと霊魂として残り、お盆になると帰ってくるというのは、
中国や日本の民間信仰であり、仏教の教えとは関係ありません。
お釈迦さまは「お盆には祖先の霊が帰ってくるから供養せよ」とは一切言われていません。
釈迦八十年の説法は、常に今生きて、苦悩にあえいでいる大衆に向けられています。
死者の為の葬式や仏事を執行されたことも一度もなかったといわれます。
むしろ、そのような世俗的、形式的な儀礼を避けて、
真の転迷開悟を教示されたのが仏教なのです。
仏教の教えの基本的なことだけでもわかれば、
お盆の習慣が仏教の教えとは全く違うことがすぐわかりますので、
「お盆の先祖供養=仏教の教え」のように思われている現状は、
そのまま仏教の教えが全く伝わっていない現れに他なりません。
ではなぜ「お盆の先祖供養=仏教の教え」となってしまったのでしょうか。
実は寺の坊主に相当の責任があります。
お盆の時期に祖先の霊を供養するという土着の信仰を利用して
坊主が「かき入れ時」とばかりに「お布施」集めに奔走してきたからです。
本来なら「それは仏教ではありません」と宣言し、
本当のブッダの教えを明らかにしなければならないのが僧侶の立場なのに、
民間土着の先祖供養信仰に乗っかって、
金儲けをはじめてしまった何百年という歴史が
今のような現状にしてしまったのです。
仏教の本来の法事とはどうあるべきか、墓参りとはどうあるべきか、
お盆のこの時期によくよく知っていただきたいと思い、まとめた記事がありますので、
知りたい方は、ごらんください。