【財欲(3)】
昔から伝わる、ほら貝の殻を傷つけず取るための
面白い方法があります。
ほら貝をぶら下げてその下に酒を浸します。
するといい香りに誘われて、
ほら貝は殻の中からそーっと頭を出してきますが、
身をのり出しすぎると落ちるので、すんでのところで引っ込めます。
でもまたいい香りがするのでそーっと顔を出す。
そして「もうちょっと、もうちょっと……」
と体を伸ばしているうちに「ボトッ」。
真っ逆さまに落下するそうです。
欲を求めて我を失う、ほら貝の愚かさを笑えない実例はいくらでもあります。
株を持っている人が、もっとも悩むのは、
「売るタイミング」だそうです。
株価が急落している時に、
見切りをつけるのはまだ易しいそうですが
問題は、じわじわ株価が落ちている場合だ、とのこと。
「この程度の下げ幅なら、まだ上がるんじゃないか?」
と思って手放すタイミングを迷っているうちに、
大損してしまうこともあります。
反対に株価が上がっている時も、
売るタイミングが難しい。
それは「もうちょっと待てば、もっと儲かる」
「最高値で売りたい」という心理が働くからです。
ためらっているうちに、何かが起きて大暴落となる。
そうなると「今更こんな大損状態で売れるか」と手放せねない、
そんな人も少なくありません。