2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧
【忍辱(1)】 「北窓開く」という春の季語があります。 冬の強く冷たい北風を避けるために開けていなかった北窓を開き、 やわらかい春の空気を部屋に入れる、という意味の季語です。 日本人は春の訪れを様々な表現で愛でてきたのですね。 私がこんな俳句の…
【諸行無常(1)】 ドイツで数万人を対象に幸福度の調査の研究がなされました。 未亡人の女性たちの幸福感の推移を調査した結果、 彼女たちの人生の満足度が最も下がっていた時期は、 予想通り、配偶者が亡くなった年でした。 夫に先立たれる前から満足度が…
【因果の道理(1)】 世の中には二通りの人がいます。 それは「愚痴の人」と「智慧の人」です。 「愚痴の人」とは、 「まかぬ種は生えぬ。まいた種は必ず生える。刈り取らねばならぬ一切は自分のまいたものばかり」 と釈迦が説かれている「因果の道理」がわ…
【度衆生心(1)】 オウム事件の死刑囚が全国の刑務所に移送され、 死刑執行が近いか、と報じられています。 オウム事件のあの時期、戦後最大の異常性極まる事件を起した犯罪集団が、 逮捕してみれば、まじめで純朴な若者たちであったことに、世間中が驚き…
【名誉欲(2)】 「死の美学」という言葉があります。 「かっこよく死にたい」 「人から立派だったと思われる死に方をしたい」 「あんな浅ましい死に方はごめんだ」 と死に方にこだわることです。 これも人間の持つ名誉欲 が成せるわざだと、仏教では説きま…
【名誉欲(1)】 NHKの集金をしていた人から聞いた話しです。 昭和50年代のある団地でのことです。 テレビのアンテナが立っていたので、集金に行ってみると、テレビがない。 その家はアンテナの模型を屋根に取り付けていただけだったのです。 事情をき…
【一生過ぎ易し(1)】 よく葬儀や法事の際に読まれる『白骨の章』の一節に 「さればいまだ万歳の人身を受けたりということを聞かず。一生過ぎ易し」 “今まで一万歳まで生きた人を聞いたことがない、一生は過ぎやすい” とあります。 日本人の平均寿命は男性…
【諦観(3)】 「人去りて知る身の不徳」 大切な人が自分の元を去っていって初めて、自分の至らなさ、浅ましさを後悔する、 という意味のことわざです。 去っていった人の悲しそうな顔が今になって思い返され、 「あのとき、なぜあんなことをしてしまったん…
【諦観(2)】 「仏教とは“あきらめる教え”ですよ」とお話しすると、 仏教とはそんなネガティブな教えなのか、と思われる方があります、 それは「あきらめる」と聞くと、 努力をやめてしまう、追い続けてきたユメを断念する、という 意味合いを感じ取られる…
【諦観(1)】 「仏教には何が教えられているんですか」 と私は職業柄よく聞かれるのですが、 この間、カフェ勉強会で尋ねられた際、 「仏教とは“あきらめる教え”なんですよ」と切り出してみました。 そのちょっと意表を突く答えにそこに集った方たちも 「…
【悪業(1)】 スピリチュアルカウンセラー、ヒーラー、自己啓発系の人がよく口にすることに、 「夫や子供とのことで受ける苦しみは魂が受けている試練」 「この世に生まれてきたのは魂の修行のため」 「周りを許し、愛することが魂を磨き、より高いステー…
【貪欲(1)】 おそらく平昌オリンピックでの北朝鮮の選手や応援団は、 口や態度には出さなくても、 内心、資本主義経済圏の豊かさに目を丸くしたのではないかと思います。 「南はアメリカの手先で人民は不幸になっている」 との北の教育に疑念が生じた人も…
【凡智(1)】 「何が善で、何が悪か、善悪の分別くらいついているよ」 と私たちは思っていますが、本当でしょうか。 たとえば「ウソ」はどうでしょう。 「ウソをつくのは悪いこと」 「正直に生きなさい」 「ウソが嫌いな人間になりなさい」 と私たちは親や…
【人身受け難し(1)】 「タイムイズマネー(時は金なり)」 フランクリンの格言です。 おおざっぱに言えば、今の日本人は生まれたときに、約80年の時間を受け取ります。 この一人一人に与えられた「時間」の価値は、 私たちが思っているよりも実はずっと…