2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧
【娑婆(1)】 刑務所での刑期を終えた人が出所し、 「やっぱり娑婆の空気はいいもんだ」などと使う「娑婆(しゃば)」という言葉、 元来は仏教の言葉で、刑務所の外という意味はどこにもありません。 私たちが生きている「この世」を指す言葉です。 昔のイン…
【瞋恚(1)】 コンビニのレジで60~70代の男性が、 10~20代の女性店員に当たり散らしている場面を見たことがあります。 店員も何で怒られているのかわからない様子で戸惑っていて、 店長らしき人がなだめにかかりますが、うまくコミュニケーションもできず…
【布施(3)】 「眼施(げんせ)」という言葉があります。 『雑宝蔵経』(ぞうほうぞうきょう)に説かれる「無財の七施(むざいのしちせ)」の一つで、 「眼を施す」「眼を与える」という親切です。 といってもアイバンクのことではありません。 温かいまな…
【布施(2)】 イタリア文学者の須賀敦子さんは、 日本とイタリアの文学作品の翻訳を通して、 両国の交流に多大な貢献を果たした人ですが、 意外にも学生時代はフランスに熱い憧憬があり、 フランス文学を学ぶために留学したそうです。 そんな彼女がどうし…
【布施(1)】 夫のことを『旦那(だんな)』といいますが、 そもそもなぜ夫のことを「だんな」と呼ぶようになったのか、 実は元来は仏教由来の言葉なのです。 「旦那(だんな)」「檀那(だんな)」とは、『布施』のこと。 『布施』とは、人に財物などを施…
【道俗(2)】 “「出家(僧)」も「在家(俗)」も差別なく、みな一緒である” と親鸞聖人が説かれたことは 当時の仏教界には青天の霹靂でした。 それまでの仏教は、極楽に往き悟りを開くのは、 仏道修行を積み、煩悩を落とすことができる「出家(僧)」だけ…
【道俗(1)】 「道俗」という言葉があります。 「道」とは僧侶のことで、出家の人、ともいいます。 家庭を持たず、肉も食べず、仏教の戒律を守り、仏道修行に打ち込む人のことです。 「俗」とは俗人のことで、在家の人、ともいいます。 家庭を持ち、肉も食…
【人生の目的(1)】 沈没しかけた船から海に飛び込むよう船長が説得を行う、有名なジョークがあります。 アメリカ人には「飛び込めばあなたはヒーローになれます」 ドイツ人に「飛び込むのはルールです」 イタリア人に「飛び込めばあなたは女性に愛されま…
【業力(1)】 もう10年ほど前のことですが、 仏教講座に来られた40代のAさんは、 ちょうどバブルの絶頂期に入社された方でした。 その会社はボーナスが年3回出る優良企業です。 会社がAさんの携わっていた事業から撤廃したので、 新部署が決まるまで…
【摂取不捨の利益(1)】 フランクルの『夜と霧』は、著者が体験した壮絶なアウシュビッツ収容所での生活が綴られ、読む人を圧倒します。 食事は日に一回与えられる水としかいえないようなスープ、 人をバカにしたようなちっぽけなパン、 それに「おまけ」…
【老苦(1)】 人類史において長らく「長寿」は貴重なことであり、幸福の大きな要素でした。 祝いの意を表す「寿(ことぶき)」という字が使われますし、 88歳の米寿のお祝い、99歳の白寿のお祝いなど、 長生きした区切りにお祝いの行事もありました。 つい1…
【人身受け難し(1)】 この画像は雪の結晶です。このように雪はみなきれいな正六角形の形をしています。 歴史上最初に顕微鏡で雪の結晶を見た人は、 まさか雪の一粒一粒の氷にこんな幾何学的な美しさがあるなんてと、 さぞこの自然の造形にさぞ驚いたでしょ…
【諦観(1)】 営業マンのA氏は、事故渋滞に巻き込まれ、 取引先の社長との商談に一時間も遅れてしまいました。 社長は「突然の渋滞ならしょうがないですよ」と、 何もなかったかのように受け流してくれたのですが、 商談自体はまとまらずに終わってしまい…
【後生の一大事(2)】 「死んだら私はどうなるのか」 この問題を仏教では「後生の一大事」といいます。 この問いに今日どんな答えがなされているか、いくつか挙げてみます。 「今頃あの世で、奥さんと一献傾けているだろう」 このセリフは葬儀の際によく聞…
【後生の一大事(1)】 「死んだらどうなるんだろう」 こんな問いを考えられた経験はあるでしょうか。 「そんなこと考えたこともないよ」と一笑に付す人もあるでしょうし、 「子供の頃ふと考えた」という人もあるかと思います。 私は小学生の頃、テレビの心…