【日日是好日(3)】
【まかぬ種は生えぬ】
【まいた種は必ず生える】
一貫した因果の道理に貫かれている仏教は
日の善悪や方角で運勢が決まると語るのを
一切迷信だと一刀両断します。
『如来の法の中に吉日良辰をえらぶことなし』(涅槃経)
仏教は日の善悪を論じない、とお釈迦様自身が仰言っています。
仏教の因果の道理を学んでいなくても
世で成功者と呼ばれる人の中には
それぞれに経験則の中から、行為が運命を切り開くという
因果の道理を信念に生きている人は多いように思います。
「天下分け目の天王山」「天王山決戦」
と今でもスポーツの世界などで
優勝を決めるような極めて大事な戦いに名づけられる、
この「天王山」という言葉は
織田信長を討った明智光秀と、
その仇討ちを果たそうとする羽柴秀吉が
この山を制した方が天下を取ることになると
両軍がぶつかりあった山の名前です。
人生をかけたこの戦に秀吉は
この一戦に秀吉破れたり、と聞けば城に火をかけ、
わが妻もわが母も刺し殺せ、と姫路城留守の将に命じています。
出陣前日に卦を占う者が
「明日という日は、非常な悪日でござる」
と、卦を立てた結果を報告しました。
卦によると、城主が二度と帰らぬ日だというのです。
これほどの悪日はない、と周りがささやきあう中、
「ばかをいえ」
と秀吉は叫びます。
みなも聞け、「二度と戻らぬ」とはこれほどの吉日はないぞ、
もとより討死の覚悟なればこの秀吉再び生きて帰るつもりはない。
「さらには」
秀吉は声をはりあげます。
「この一戦でもし光秀に勝たば思いのままに
どの土地かへ居城を構えることになろう、
どちらにしても二度と帰らぬはわがためには見事な吉日であるわ」
と動揺する味方を鼓舞し、一層士気があがったと聞きます。
秀吉は中国大返しの最中も馬上から次々と指示を出し、
近畿の武将をあらゆる手で調略し、
明智方の敵将を寝返らせ、情報をかき集め、
敵方に偽の情報を流し、勝利への布石を一つ一つ打っていきます。
戦は直接槍を交えるまでの事前工作で決まるのだ、
合戦に及ぶ時節には100%勝利が確定している状態で臨むべし、
との信念で事に臨んでいる秀吉には
たわいない迷信は何の動揺を誘うこともなかったようです。
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