【罪悪(1)】
水芭蕉で有名な尾瀬でサ-クルの合宿に行ったときのことです。
洗濯の際「市販の洗剤を使わないでください」とペンションの人から言われました。
地域の人が水芭蕉の咲くきれいな湿原を守るために、
自然に害を及ぼす市販の洗剤は使わないようにしているとのことでした。
この時感じたことは、私たちは「無知」が原因で、
知らず知らず自然を破壊したり、
周りに迷惑をかけたりしているのだろうなということでした。
知り合いがしばし車いす生活になり、
半日くらいサポートしていた時にも同じことを感じました。
ふだんなんとも思っていなかったちょっとした段差にも難儀したり、
市民会館の階段に車いす用のスロープがあったのが有り難かったり、
貴重な経験をしました。
こういった経験をしなかったら、
車いすの人がどれほど難儀しているか、ずっと無知でしたし、
それに無知だったら、町で見かける車いすの人への気遣いはできない
と感じました。
最近、高齢者疑似体験の教材が大学の授業などで導入されているそうです。
視覚障害のゴーグルをつけて白内障の理解を深めたり、
ひざサポーターをつけて歩いてみて、
高齢者が駅の階段などでいかに危ないかを体感してみたりするというもので、
その理解が深まれば、お互い支え合えるようになってくるのだと思います。
無知が原因で罪を重ねているのは、世界の飢餓問題についてもいえます。
いま、世界では飢餓が原因で1日に4~5万人の人が亡くなっていますが、
そのうち、全体の7割以上が子供たちです。
よく北朝鮮やシリアに先進国が「人道的に許されない」と非難声明を出しますが、
これだけ飢餓で命を落とす子供たちがいる世界の状況も、
人道的にあってはならないこととして、
先進国が率先して話し合わねばならない課題に違いありません。
ところがなんと世界の飢餓は、第一の先進国であるアメリカの国民が
ダイエット食品に費やしている金額を全部そこに回せば、
世界の他の地域の飢えた人全員を養うのに必要とされるに十分な金額となり、
一気にこの問題は解決だそうです。
日本にいる私たちもアメリカを責められません。
日本では年間1800万トンを食料廃棄していますが、
この食料廃棄率は、アメリカを上回ります。
この日本の食料廃棄は途上国の5000万人分の年間食料に匹敵するそうです。
自覚がないだけで、「生きる」ということは
おびただしい罪を重ねていることといえるかもしれません。
一種の鈍感さで、人間は平穏な日常を送っている存在なのでしょう。
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