【諸行無常(1)】
この度のコロナ禍は、100年以上世界をリードしてきた超大国アメリカの「終わりの始まり」ではないか、と論じる識者が多くあります。
「この国は上手くいっていない」と、世界中の人も、アメリカ国民も感付き始めています。
確かに軍事面では地上最強です。
しかし様々な面で惨憺たる状況といえます。
アメリカの子供は他の先進国の子供に比べ、基本科目の成績が悪いのは、まっとうな教育を受けられない貧困家庭が多いからです。
他の先進国より幼くして死亡する子供の確率が高いのも、高い医療費が払えず病院に行けないほど貧困だからです。
すでにアメリカの医療システムが破たんしているのは前から指摘されていたことですが、この度のコロナでも断トツの死者数を出したことはその深刻さを曝露してしまいました。
さらにアメリカは人口に対する囚人数の割合が世界一高く、銃犯罪がはびこり、個人債務が人々を苦しめています。
所得格差が世界一大きく、それは「所得下位80%の各世帯が額面7000ドルの小切手を上位1%に毎年渡している計算になる」ほどです。
ではこうして膨れ上がった富を上位1%の富裕層はどうしているのか。
ブルボン王朝の貴族もぶったまげる浪費をしています。
「世界に5つの豪邸を持ち、30人の使用人を雇い、移動には個人ジェット機を使い、ワインの銘柄を知るためのアドバイザーがいて、一泊34000ドルのホテルに宿泊し、ウォールストリートバーガーショップで高級ハンバーガーを食べ、アルゴンキンホテルのバーで一万ドルのオンザロックのマティーニを飲む」
派手な浪費という言葉ではとうてい説明できない使い方をしています。
しかもその経済格差は年々広がっており、このたびのコロナ禍でも4月からの11週間だけでアメリカの億万長者の資産は61兆円増えました。
一方この間に失業保険申請は4260万人でした。
もはやアメリカのような国になりたい、と世界が羨望する国とはいえなくなってきています。
とはいえ中国のような国になりたい、とも思えない人が多いのですが。
15,16世紀はスペインが日の沈まぬ国と呼ばれ、17世紀はオランダが黄金時代を迎え、18,19世紀は大英帝国が君臨し、そして20世紀はアメリカが超大国として覇権を握りました。
21世紀はスタートこそアメリカですが、さて今度はどの国が台頭してくるでしょう。
その世紀に生きた人たちは圧倒的なパワーをもって君臨するこれらの国々に、この権勢は永遠に続くように思ったでしょうが、100年~200年ももたなかったことは、現代に生きる私たちはよく知っています。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。驕れる者久しからず。ただ春の夜の夢の如し。猛き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ」
仏教思想を語った平家物語の一節が思い出されます。
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