『心は蛇蠍のごとくなり』という
親鸞聖人のお言葉をテーマに話ししていますが、
蛇蠍って、どのように読むんですか?
と何人かの方からお尋ねがありました。
蛇蠍とは、「じゃかつ」と読み、
蛇とはヘビ、蠍とはサソリのことです。
自分の心の中にヘビやサソリのような心があると聞いても
首をかしげる方もあることと思います。
そこで、
『私の知らない私の心』
『私のわかっていない私の姿』を
さまざまな角度からお話ししてきました。
思えば、『私の知っている私の心』は、
ほんの氷山の一角で、
海面に隠されたその姿は
いかなるものか。
親鸞聖人の『こころは蛇蠍のごとくなり』は、
その海面下の自己を知らされた告白です。
今日も、このテーマをある事例を通してお話しします。
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2010年に宮崎県の口蹄疫騒動がありました。
収束をむかえた直後に
何万頭という牛や豚が殺処分されました。
口蹄疫にかかったからではなく、
口蹄疫にかかる疑いがあるということで、
健康な牛や豚が殺されました。
行政としては当然の処分ということになりますが、
殺されていった牛や豚は当然だとは思っていないでしょう。
動物界における絶対権力者である人間と比べれば、
彼ら牛や豚は実に弱い存在なので、
文句も言えず、主張も許されず、
諾々と殺されていった、といえましょう。
一昔前になりますが、
多摩川べりに現れたということから
「タマちゃん」と呼ばれて愛されたアザラシがいたことを
記憶されている方もありましょう。
大人も子供も夢中に手を振って
「タマちゃ~ん」と呼びかけ、
グッズまで販売されて、
タマちゃん騒動と言われました。
当時、そのタマちゃんに石投げつけるという
悪ふざけをした中学生3人組がありました。
その現場を報道した女性キャスターが
「あっ、見えました。・・中学生か高校生でしょうか。
ひどいです。学生服姿の3人がタマちゃんに石を投げつけています。」
と涙声だ。
その中学生、やがて住民に囲まれて、
「お前ら、タマちゃんに謝れ!」
と叱られていました。
やがて中学生、正座させられて
反省をもとめられていました。
タマちゃんも、口蹄疫の疑いある牛や豚も同じ動物で
体の大きさも脳の大きさも
そんなに変わるものではないでしょうに、
かたや伝染病にかかる疑いあり、
ということでばたばたと殺されていく。
一方は溺愛され、石を投げつけただけで、
悪人扱いされたりする。
そういえば、もっと前に、
カモに矢が刺さった痛々しい映像がテレビに映り、
お茶の間の同情を誘ったこともありましたs。
それをテレビで見ながら、
「矢ガモかわいそう」といいながら、
ケンタッキーフライドチキンをほおばっていた自分を思い出し、
苦笑します。
動物愛護もそらぞらしくなってまいります。
これも
【空言たわごと真実あることなし】
の人間の実態といえないでしょうか
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