■人生は順境と逆境の繰り返しだと先日から話をしております。
この一年の自分を振り返ってみるだけでも
憂鬱で、どうしようと思ったこともあり、
舞い上がるようなうれしいこともあり、
あれこれあってすでに今年もあと数日を残すのみとなりました。
来年も何が起きるか予想はつきません。
今まで味わったことのないような苦難があるかもしれませんし、
思いがけない慶事があるやもしれません。
いずれにしても、そういう浮き沈みを経験して、
歳の終わりに思うことは
「今年も過ぎようとしているな」
ということなのではないでしょうか。
■太宰治の『人間失格』に
「ただ、いっさいは過ぎていきます。
自分が今まで阿鼻叫喚で生きてきた、
いわゆる人間の世界において、
たった一つ、真理らしく思われたのは、
それだけでした」
のフレーズは妙に心にしみます。
■順境、逆境を繰り返し、一年はあっという間に過ぎていく。
昨年も、いや20代の時も、30代の時も、
このように順境、逆境を繰り返し
来年も40代もこれを繰り返していくことでしょう。
人はこうして人生の登り下りを重ねながら、
いったいどこに向かっていくのだろう。
目の前の逆境をいかに乗り越えるか。
目先の順境をいかに持続できるか。
目の前のことに追われながらバタバタと月日は流れ、
ふと振り返り見ればもうこんな年になってしまったのか、と黄昏る、
それが人間なのでしょうか。
いったい人は【順逆を繰り返してどこへ向かっているのか】
釈尊が問題にされたのは実に、
その『行く先』だったのです。
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