【慈悲(5)】
「人間の慈悲は盲目の慈悲である。」
と喝破された仏説まことを示す事例には
枚挙に暇がありません。
ちょっと前ですが、
ある名女優が高校生の息子に月50万ものおこずかいを与え、
自宅の広い地下室を子供部屋にし、
その地下室で友人と覚せい剤パーティーを開いていたところを逮捕された
という事件があったと思います。
その息子は3度も覚せい剤の事件を繰り返し、
30歳になって出所したそうです。
このニュースを聞いたときには、
まだ常識も知らず、自制心もない高校時代に
月50万円ももらっていたら、
そりゃ誰でも金銭感覚はどうかなってしまうよ、と思ったものです。
▼買えないので我慢する、
▼買おうと思ってバイトする、
▼バイトすれば理不尽な理由で店長や客に叱られながら、
一生懸命頭下げる、
▼くたくたになってやっともらえた1万円
こういった、高校時代くらいに初めて経験する『金をうる』ということの重みが
やがて大学時代上京して仕送りを送ってくれる両親への感謝になり、
額に汗して働く人たちへの尊重にもなっていくと思うのですが、
そういうことが何もわからなくなってしまうのは不幸だと思います。
『溺愛し 子供をだめに 育ておる』の歌を思い出します。
さればといって、甘えさせてはいけない、厳しくしつけなければ、と
叱ってばかりいると、意固地でいじけた自己評価の低い子供になるとも言われます。
「赤ちゃん時代」の「だっこ」「おんぶ」「添い寝」に始まり、
幼児期の間に繰り返し「甘えさせて」もらっていく中で、
親に対する安心感、確かな信頼感を形成していきます。
そして、「信頼」という絆がしっかりと結ばれていればこそ、
子どもは親の言葉に心を開き、たとえ厳しく叱責された場合でも、
素直に耳を傾けることができるようです。
親は子供を苦しませてやろう、不幸にしてやろうと思って
育てることは絶対ないです。
親はみな、自分の子に幸せになってほしい、という慈悲心であふれています。
なのに、育て方が上手くいかず、悩んでいる人がどれだけ多いことでしょう。
「長男はこの育て方でうまくいった。
同じように育てているのに、次男はなぜこうなってしまったの」
といった事もあります。
先を見通す智恵のない、慈悲の実態を知らされます。
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