【慈悲(2)】
人間の慈悲には『差別がある』と、お釈迦様は説かれています。
これも一つの事例を通してお話しましょう。
アフリカで飢餓に苦しむ子供の映像がテレビに映ると、
慈悲深いお母さんなら、
「うちの子と同じくらいの歳なのに、
どうしてこんなかわいそうな目に・・」
と涙でハンカチをぬらします。
ところがテレビを見てるときに、
自分の子供が「コンコン」とセキをすると、
すぐテレビ消して「どうしたの?」と
心配そうに額に手を当てて、熱でもあろうものなら血相変えて、
すぐ病院行かなきゃと、せわしくなる。
テレビに映っていた飢餓で死にそうな子供のことはすっかり忘れ、
自分の子供の「コンコン」のセキの方が、
ずっと気になるのが実態です。
人間に慈悲の心はあっても、
平等に降り注がれることはありません。
えこひいきする慈悲、が実態です。
アフリカでは毎年500万人近い子どもたちが
5歳になる前に命を落としています。
基礎的な保健サービスさえあれば、失われずにすむ命です。
私達が一食20円安く食べ、その分をアフリカに回せば、
アフリカの子供達の一回分の給食費となり、
多くの人命が餓死から救われるようです。
「無関心による大量虐殺」といわれるアフリカの惨状が
調べるほどに知らされてまいります。
たとえば、チョコレート。
原料カカオの世界最大の輸出国、コートジボワールの農園では、
1万5千人の子どもが奴隷として働き、生産コストを下げています。
だから先進国では簡単に手に入るチョコレートには、
アフリカの子どもたちの汗と血と涙が混じっている、といわれます。
私達が自分の子供を休日に、東京ディズニーランドに連れていき、
フリーチケットでいろいろな乗り物に乗せ、
ポップコーンやチョコアイスを買ってやり、
ミッキーのぬいぐるみも買ってやると、子供はすっかりご満悦で、
それを見て両親も喜び、そんな子供の笑顔を
一生懸命ビデオに収めています。
よく見かける風景です。
幼児虐待だの、育児放棄などが問題になる中、
ほほえましい家庭風景の一ページですし、
両親の愛情の深さが伝わってまいります。
しかしアフリカで飢餓に苦しむ子供達が
その映像を見たらどう思うでしょう。
なんて自分本位の、無慈悲な人たちなんだろうと
恨むかもしれません。
アフリカの子供達は、そんな世界の経済格差の背景を知らないので、
恨むこともできないのですが。。。