私たちが特に失敗しやすいのは、苦しいときです。
不幸な時、苦しいときは、気を付けなければなりません。
苦しいときに、より輪をかけて自分を苦しませるようなところへ
自らを追い込んでしまうからです。
仏教では「苦しみ」が「惑い」を生み、
「悪い行為」をさせると説かれています。
○苦しいと、腹が立ってきます。
イライラが募って、挙げ句の果てに暴言を吐いたり、
拳をあげたりして、
今の立場を失う事態も起きます。
○苦しいと、人を妬みます。
「なんであいつばかり」と、人の幸福が妬ましく、
人の成功を素直に喜べなくなります。
○苦しいと、人を憎みます。
自分を苦しませる者を「あいつのせいだ」と憎みます。
その結果、余計苦しみます。
自分を苦しませる者がよくわからないときは、
犯人捜しをはじめ、
やはり誰かのせいにし、苦しみます。
○苦しいと、大切なものを捨ててしまいます。
「こんなにしてきたのにこんな目にあった」となれば、
投げやりになり、逃げ出したくなります。
あとちょっとで道が開けるところを
今の苦しみが台無しにしてしまうのです。
○苦しいと、何かに依存します。
酒や薬物に溺れたり、ギャンブルにのめり込んだりして、
今の苦しみを刹那でも忘れようとします。
それがよけいその人を苦しみに追い込みます。
○苦しいときはだまされやすいです。
「溺れる者はわらにもすがる」で、
早く楽になりたくて、
とんでもないものにすがってしまいます。
このように苦しいときには、落とし穴がたくさんあり、
気を付けなければなりません。
ほおっておくと、苦しみが転がる雪の玉のように
大きくなっていくのです。
プラトンは「国家論」の中で
「不幸な時にはできるだけしずかにしているのがいい。
短気をおこしても何の助けにもならないからである」
と言っています。
二千年の古から変わらぬ人間の実態です。
仏教では苦しいときにそれを堪え忍ぶ「忍辱」は、
幸せの花を咲かせる、素晴しいタネまきですよ、
と教えられています。
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