【自利利他(1)】
「どうしたら、わかってもらえるのか」
「どうしたら、認めてもらえるのか」
と悶々とすることは私たちによくありますが、
こういう悩みは、悩んだ割には、
あまり生産性がないことが多いようです。
そもそも悩んだところで、どうにもならないことが多いです。
そんな時は、その悩みをいい加減なところでほったらかしにして、
視点をがらっと変えてみたらどうでしょう。
「どうしたらわかってもらえるか」という問いではなく、
「どうしたらわかってあげられるだろうか」
「どうやったら認めてもらえるか」ではなく、
「どうやったら、周りに喜んでもられるか」
という質問をあえて自分に投げかけてみるのです。
すると不思議なことに、人のことでアレコレ悩んでいると
自分の悩みがいつの間にか霧消しているのです。
そしていつしか恵まれ、大事にされるようになっています。
「あなたが世の中に対して提供した、
価値の10分の1があなたに返ってくる」
と言っています。
常にこれは意識していないと
「どうやったら儲かるか」
「どうやったら相手は、自分を認めるようになるのか」
という問いがどうしても先走ってしまいます
そうなると、どんなよい方法があったにせよ、
相手の心を動かして、相手のお金や時間や気持ちを
こっちに引っ張り込もう、ということになりますから、
相手は警戒しますし、面白くない気持ちになります。
「ほしい」という発想を頭からはずして、
「どうしたら、この人に喜んでもらえるか」
という問いを真剣に考えてみるところから
努めていったらどうだろう。
遠回りのように見えて、
堅実に自分も恵まれるようになっていくのです。
仏教では、この精神を『自利利他』といいます。
他人を幸せにする(利他)ままが、自分の幸せ(自利)となる。
他人も生かし、自分も生きる、
これが『自利利他』の道です。
これから数回にわたって『自利利他』の仏教の教えをお話しします。