【慢(1)】
ある大企業の管理職以上を対象としたセクハラ研修の内容は衝撃的なものでした。
全員の席に手鏡が置かれていて、講師が開始直後に
「はい、鏡でご自分の顔を見て下さい」
「分かりますよね。若い女の子があなたに優しいのは上司だから。それ以外の理由はありえません」
ここから講座はスタートするとのこと。
今までの自分を振り返ってみても
「自分はこの人から嫌われているんではないか」
という直感はほぼ当たりでしたが、
「オレってひょっとして好かれているんではないか」
という野生の勘は外れていました。
うぬぼれ心はひどいものです。
相当の修行を積んだ修行僧でも、最後まで苦しむのが『慢心』(うぬぼれ)だといわれます。
こんな話もあります。
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昔、インドの山奥の寺に、煩悩を断ち切ったという男が現われた。
そんな尊い人がいるのか、一度お会いしたいものだ、とある男が山奥まで会いに行った。
寺院には、眉間にしわを寄せて目をつぶり、座禅瞑想している老僧がそこにはいた。
「長年の修行の末、煩悩を断ち切ったといわれるのは、あなたさまでございましょうか」
「そうだ」
「なんてすばらしいのでしょう。煩悩を絶ったなんて、あなたはただのお人ではない」
と、ほめかかったところ、その修行僧、ニヤッと頬が緩んだという。
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その頬を緩ませてしまう心が、『慢』という煩悩なのです。
仏教に説かれている百八の煩悩の中でも、
『慢心』は特に私たちを苦しませ悩ませる六大煩悩の一つです。
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