親鸞に学ぶ幸福論

「そんなにしてまでなぜ生きねばならないのか」はっきり示した、メールdeで学ぶ仏教教室です。無料メール講座が好評です。受講者4000人。

どの宗教も、同じ宇宙の法則だと主張する人に言いたいこと

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【宗教(1)】

 

「キリスト教でも、仏教でも、イスラム教でも、どの宗教でもいい。どれも同じだ」

と言う人が時々いますが、

私はそんな人は「どれも知らない人ではなかろうか」と疑わしくなります。

世界の三大宗教が(そのいずれでもいいですが)どんな思想宗教か、

基本的なところだけでも学んだ人ならば、

「どれも一緒だ」とは、いくら何でも言えるはずがないからです。

 

それでもまだキリスト教とイスラム教は

ユダヤの聖典をルーツとする「アブラハムの宗教」「契約の宗教」ですから、

多々、同じ教義はありますが、

仏教とアブラハムの宗教(キリスト教、イスラム教、ユダヤ教)とでは、著しく違います。

 

根本的な教義で「右に行け」と「左に行け」ほど違うものを、

もし「一緒だ」と主張するなら、

両者の真反対ともいえる教義の違いが、なぜ「一緒だ」といえるのか、

納得できるように説明できなければならないでしょう。

(納得できるように説明できますよ、という方があれば、私自身、ぜひお聞きしたいものです)

 

二人の科学者が提唱する学説が異なっていた場合、

両者は誠心誠意、意見を戦わせて、白黒つけます。

それが科学者としての誠実な姿勢です。

「どちらの主張もいい」と言ってしまったら、

それは真理探究を求める学問的姿勢を放棄したに等しいことになります。

もちろん権威や権力などのパワーで、あるいは暴力をもって、

科学者が一方の主張を封殺したとしたら、

それは最低のことで、学問の徒としてあってはならないことは言うまでもありません。

カトリックの宗教裁判でガリレオの地動説が否定されたのは、

そういうあってはならない事柄の一つですが、

それでは科学の発展は望めません。

理性的に、相手が意見を述べることをきちんと聞いて、

その上でどちらが正しいか、冷静に判断していくのが

あるべき姿です。

 

仏教の一切経も、キリスト教の聖書も、マホメットのコーランも教義は違いますし、

また釈迦、キリスト、マホメット、いずれの開祖も

「どの宗教でもいい」とも言い遺していないのも、学べばすぐわかることです。

つまり「どの宗教でもいい」と主張することは、

釈迦、キリスト、マホメットを否定することになります。

「そうでない、彼らは深いところで一緒のことを言っているのだ」と主張するのなら、

どう一緒だといえるのか、両者にわかるような説明がなければなりません。

それができないとしたら、無責任だと指摘されても仕方ないでしょう。

 

ちょっと聞くと、「これは宗教ではない」「宇宙の法則だ」「排他的なのが一番よくない」の主張は

宗教同士の争いのない、全人類が同じ信仰を持つ、寛容で平和な考えに聞こえるので、

角が立たず、受けがいいですが、

そもそも「どれも同じだ」と主張する時点で、

その人は多くの宗教とそれを信仰する人を排他していることになります。

 

 

 

 

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薬物中毒(オーバードース)の増加が怖いアメリカ

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【人生の目的(1)】


20世紀後半は紛れもなくアメリカの黄金時代でした。

二つの世界大戦に勝利し、その後のソ連との冷戦でも勝利し、

世界唯一の超大国として君臨し、

1950年にはGDP2兆ドルだったのが、

2000年には12兆ドルとなりました。

今なお世界の富がアメリカに集中し、

アメリカ国民は安く大量に出回るパソコン、自動車、エアコン、食器洗い機、テレビを享受し、

見違えるほどに日常生活は便利に、快適になりました。

 

ところがこの50年間でアメリカ人の幸福感はどうなったのか、

1990年代後半に実施された幸福感調査では、

1950年代とほぼ横ばい、やや下落、という結果でした。

GDPが6倍になった豊かさは、個々の幸福感には反映されていなかったのです。

 

特に最近、アメリカで社会問題になっているのは、薬物依存です。

2017年、アメリカのドラッグ過剰摂取による死亡は、ついに年間7万人を超えました。

CDC(アメリカ疾病対策センター)の調べでは、

2017年のドラッグ過剰摂取による死者は、

エイズ、交通事故、そして銃による死亡者がピークに達した年の死者を全部足した数を上回ります。

「がん」「心不全」「肺炎」による死亡率は低下しているにもかかわらず、

「薬物中毒死が急増」しているため、アメリカ人の平均寿命は0.1年短縮しました。

今やアメリカの「薬物中毒死」は、「心疾患」「悪性腫瘍」に次いで第3位です。

 

薬物中毒死は一応事故死の扱いですが、

生きるのが嫌で、一時でも憂鬱な思いを忘れたいとドラックに依存を深め、

やがてその人を死まで誘ってしまう、ある種の自殺衝動といっていい、自暴自棄な中毒死も相当あったと思います。

 

日本の自殺者年間2万人も問題ですが、

アメリカの自殺者と薬物中毒死で約10万人というデータは、

日本以上にアメリカの深刻さを物語っています。

 

しかもです。

薬物依存の中毒死がアメリカンドリームの体現者であるセレブ、有名人に多いのも、

不気味な兆候です。

マイケル・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン、プリンスetc

彼ら成功者を急性薬物中毒死まで駆り立てたものは何だったのでしょうか。

 

政治・経済・科学・医学、あらゆる分野で世界のトップを走っているアメリカに蔓延する薬物依存は、

人類の進もうとしているベクトルを見直さなければならないのでは、と問題提起しています。

 

 

 

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あの人「ここだけの話」と口にすることが多い人だよな

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【持戒(1)】

 

新聞の人生相談で、ある40代の女性が、

「誰にも言わないでくれ、と妹に打ち明けられた秘密を誰かに話したい」

と相談したところ、回答者の作家がこう答えていました。

「あなたの夫にも絶対漏らしてはいけません。

これはあなただけの秘密です。一生の秘密です。

妹さんとの密約は、無期限です。

妹さんが自ら破らない限り、どんなことがあっても、あなた一人の胸の奥深くにしまって封印してください。

約束はどんなことでもいったん結んだら、心苦しくとも守らねばなりません。

あなたの人間性が試されているのです」

 

秘密を誰かに打ち明けたら、

いつの間にかあの人もこの人にも知られていた、という話はよく聞きます。

「人の口に戸は立てられぬ」とはよく言ったもので、

「誰にも言わないで」とその人と約束したにもかかわらず、

聞いてしまうと、人は話したくて仕方ない習性を持っているのか、

ついまた誰かに「絶対言っちゃダメだよ、ここだけの話だけどね」と言ってしまうものです。

 

たいてい「ここだけの話」というのは、

スキャンダラスで、ショッキングで、決してつまらない話ではないので、

聞いた人はまた「ここだけの話だけどね」と目を輝かせ、誰かに言います。

こうして二人だけの秘密は次々と連鎖して、瞬く間に広がっていくのです。

 

「誰にも言わないで」と言われ、

「わかった」といったん口にしたなら

誰にも言ってはならないことで、

その秘密は墓場まで持っていくべきです。

 

約束したにもかかわらず、誰かにしゃべる人は

「私は人間性に問題があります」と自ら口にしているようなもので、

信用されない人です。

「あいつには大事なこと相談できん」

とレッテル貼られ、やがてその人には、

誰も表面的なことしか言ってくれなくなるでしょう。

 

 

 

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運命の理不尽さをブッダはどう説き明かすか

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【因果の道理(1)】


イスラム国から解放された市民たちの声から、

イスラム国統治下での蛮行が次々と明るみになっています。

異教徒の大量虐殺、奴隷としての人身売買、

見せしめの公開死刑と拷問、

子供たちは銃器の使い方を学校で学び、

住民を人間の盾として最前線に立たせる、など

人権を無視する壮絶な惨状に世界中が息をのんでいます。

 

今も心に深い傷を負っておびえている少年少女の顔は痛々しいばかりです。

その年頃の日本の子供なら、

音楽が好きなら親が塾に通わせたり、

サッカーが得意なら少年チームに入れさせたりして、

やがて才能が開花し「努力は裏切らない」と胸を張って言えるように育ちます。

 

しかしイスラム国統治下だったその子たちは、

処刑映像で脅され、子供も扱える銃で最前線に送られる、

あるいは一方的に囚われ、人身売買されたのです。

「なんでこの子たちはこんなひどい目に遭わねばならなかったのか」

世の理不尽さを考えさせられます。

その子たちの中には、プロ選手になれるような才能の人、

世界に影響を与える研究をするような優秀な頭脳の人もあるに違いないのですが、

生まれたところがそこだったので、

一生文字も書けず、才能を発揮する機会なく

人生を終えていきます。

 

「どうしてこの国に生まれたんだろう」

「どうしてこの時代に生を受けたんだろう」

「なんでこんな親の元に生まれたんだろう」

「なんでこんな容姿で生まれたんだろう」

そんなこと考えても仕方ないよと言われても、

生まれ落ちた人生のスタートからあまりにも不平等で、

それは本人の努力ではもう埋め合わせることができないほどの差ですから、

考えずにおれないのです。

 

「運が無かったね」

「運が悪かったんだよ」と言いますが、

運、って何ですか?

運、って誰が決めたのでしょうか。

「いつ、どこに、どの両親の元に生まれたか」という決定的な出来事が

「運」の一言で「考えても仕方ないよ」と片付けられていくのです。

 

確かに考えても仕方ないことかもしれない。

しかしそう言われてこの問いを忘れられる人は、恵まれた人です。

ハンディを背負った人生のスタートだった人は、

「どうして」と自問自答せずにおれません。

 

私たちの運命のシステムはどうなっているのか、

この不可解さに答えを示そうと、

さまざまな思想宗教が教えを説いています。

「神が試練として与えた」と説く人、

「まったくの偶然」と説く人、

「業(カルマ)が生み出した」と説く人。

自己の人生問題の根本であるがゆえに、

「たしかにそれも一つの考え方だね」

で済まされる問題ではなく、

「どれも正しい」といった無責任な態度であっていいものでもありません。

 

では、仏教では運命のシステムについてどう説かれているか、

この問いについて関心ある方は

以前、小冊子でまとめましたので、関心ある方は

kikutani@waseda.ne.jp

こちらまで『小冊子希望』の題名でメールください。

返信の形で小冊子のPDFを送らせていただきます。

 

 

 

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インテリジェンスデザインを主張するアメリカ人

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【第六天魔王(1)】


近年、アメリカ人の教会離れが進み、

特に若者を中心とした“キリスト教離れ”が甚だしく、

クリスチャン人口は激減しています。

 

一方、青少年による銃やドラック、窃盗などの犯罪は年々増加しており、

この治安の乱れは、キリスト教の信仰が衰退し、神を信じなくなったからだ

と信じているアメリカ人は多くいます。

アメリカ南部の田舎の州に多い「古き良きアメリカ」を懐かしむ人たちです。

 

彼らは、教育の場で進化論を教えるようになってから、治安が悪くなったと主張し、

聖書の教えが教育の土台となっていたかつての教育が望ましいと考えます。

「青少年は、どんな悪事を働いても神の罰があるとは思っていない、

誠実に生きれば神の恩恵を受けるとも思っていない、

警察にばれなければ何をやってもいいと思っている。

今こそキリスト教の教育が必要だ」

と主張するのですが、こんな声を聞いて思い出した仏典のエピソードがあります。


ーーーーーーーー

あるとき第六天魔王が、人々を集めて

「お前達は私がつくってやったのだから、

言うことを聞けば幸せにしてやるし、背けば不幸にしてやるぞ」

と説法していました。

お釈迦さまは、第六天魔王を呼んで、

「お前は何というでたらめをいうのだ。

この世の中は誰のつくったものでもないだろう」

といわれると、第六天魔王は

「いや真理はそうでしょうが、こうでも言っておかないと、

こいつらは何をするか分りませんからね」

と答えた。

ーーーーーーーーーーーーー

保守派のアメリカ人のいう、キリスト教の教育論も、

取りようによっては、この仏典のエピソード同様、

神がいるかどうかは二の次、三の次、

国をまとめ、国民に規律と道徳を持たせるのに、

キリスト教が必要、という主張にも取られかねないのですが、それでいいんでしょうか。

 

また彼らの主張の論拠は、

キリスト教信仰がなくなったことと、青少年の犯罪が多発したことが

比例している、相関関係がある、との思いからきているのですが、

これもどうかと首をかしげます。

もしそうなら、キリスト教の盛んな中南米の犯罪率の高さ、

またキリスト教信者がわずか1%に満たない日本の治安の良さは説明つかないからです。

 

 

 

 

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生きがいを持つことと仏教の関係

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【人生の目的(2)】

 


「人生の目的は何か?」と聞くと、

プロ野球選手とか、ノーベル賞とか、温かい家庭を築く

といった各人各様の答えが返ってきますが、

それはその人の「生きがい」であって、「人生の目的」ではありません。

「人生の目的」と「生きがい」とを混同しているから、

それで答えたつもりになってしまうのでしょう。

 

「人生の目的」と「生きがい」は、全く違います。

「人生の目的」とは、“人間に生まれてきた目的”“生きる目的”です。

「生きがい」は、“生きる明かり”“生きる支え”です。

その違いが曖昧模糊としている人は多いので、

仏教ではここを丁寧に説かれています。

 

まず「生きがい」ですが、

生きがいがなければ、人は生きてはいけません。

人間、生き抜くにはどうしても生きる明かり、生きる支えが必要です。

 

待ち受け画面を奥さんと子供の写真にしている友人が多いですが、

「妻子のためにも頑張らなきゃ」と励みにしているのでしょう。

それは「家族」を生きがいにしている人です。

 

晩酌が楽しみで生きているようなもんですわ、という人は

晩酌を力に、嫌なことも乗り越えているのですから、

「晩酌」を生きがいにしている人です。

もしその人から晩酌を奪ってしまったら、

生きる力を失ってしまうでしょう。

 

以前ある大学生が

「生きててもいいことないので、死のうかなとずっと思っていました。

ただ少年ジャンプのあの続きどうなるのかな、と

それを明かりで、とりあえず月曜日まで生きよう、と。

それをつなぎ合わせて、今まで生きてきたようなもんです」

と言うのを聞いたことがあります。

 

この学生の話に通ずると思うのが、

太宰治のこの言葉です。

ーーーーーーーー
死のうと思っていた。
今年の正月、よそから着物一反もらった。
お年玉としてである。
着物の布地は麻であった。
鼠色の細かい縞目が織り込まれていた。
これは夏に着る着物であろう。
夏まで生きていようと思った。
ーーーーーーーー

先ほどの大学生でしたら、

少年ジャンプを生きる明かりにしていた、ということですし、

太宰治なら、着物一反の着物を生きる明かりにしようと思った、ということでしょう。

 

かくの如く、私たちは、さまざまなものを生きる明かり、生きがいにして

なんとか懸命に生きている存在です。

ちょうど海におぼれたら

何か浮いている板切れや丸太に必死にしがみつくようなものです。

なんでもいい、とにかく何かにすがりつかないと、

波が苦しくてつらくって泳げていけないように、

私たちは何か信じる明かりがなければ

生きていけない存在なのです。

 

では生きがいを支えに、生き続けているのは何の為なのでしょうか。

生きていくために必要な生きがいですが、

なぜ生きていかねばならないのでしょう。

なぜ人は生きているのか、

そもそもなぜ死んではいけないのか、

生きがいを支えに生き続けたところで、

いつかは死ななければならないというのに・・・。

【必ず死ぬのに、なぜ生きる】

これが「人生の目的」とは何か、という問いです。

 

 

 

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では仏教の教える『人生の目的』とはいかなるものか、分かりやすく体系的に学べる
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人生の目的と生きがいの違いを考察:フェルマーの最終定理

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【人生の目的(1)】

 


「人生の目的は何か?」と尋ねれば、

「それは人それぞれだろ」と答える人が多いです。

「金メダル」とか「ノーベル賞」とか「温かい家庭」とか、

人によってそれは違いますが、

その人その人が、自分らしい目的を見つけて、そこに向かって精一杯生きれば、人生は輝く、

と思っている人が一般的です。

 

しかしそれら「金メダル」、「ノーベル賞」、「温かい家庭」などは、

各人の「生きがい」「ユメ」「生きる目標」といわれるものであって、

「人生の目的」ではありません。

「あなたのユメはなんですか」

「あなたの生きがいはなんですか」と問われれば、

人それぞれの答え「金メダル」、「ノーベル賞」、「温かい家庭」でいいのですが、

「あなたの人生の目的はなんですか」を答えたことにはならないのです。

 

それは「人生の目的」と「生きがい・ユメ」とは、まったく違うからです。

ほとんどの人が「人生の目的」と「生きがい」「ユメ」を混同しており、

数々の人生本でも同義としていますので、

その違いを理解するのは大変ですが、

両者は明確に違います。

 


ではどう違うのか、仏教では様々な角度から違いを鮮明にしていますが、

一つ、大きな違いを簡潔に言いますと、

「生きがい」「ユメ」は、時と共に変化するものです。

「とりあえず今はこれを目指す」という目標であり、

まずは合格、次は就職、そろそろ結婚と、変化していくものですから、

人生の通過駅の一つです。

「生まれてきたのはこれ一つ」という「人生の目的」ではありません。

 

一例を挙げて考えてみます。

数学の難問中の難問として知られる「フェルマーの最終定理」。

17世紀の数学者フェルマーの書「算術」の余白に、

彼自身が書いたシンプルな方程式と

「この方程式を証明する驚くべき証明方法を私は知っている。だが余白が足りないので書かない」

という謎めいた言葉が、それから300年間、世界中の数学者を悩ませることになりました。

 

フェルマーが残した数式を何とか証明しよう、あるいは反証しようと、

世界の名高い数学者たちがこの証明問題に挑戦したのですが、

300年にわたって、ことごとくその挑戦を退けてきた難攻不落の問題であることから、

いつしか数学者が畏敬を込めて「フェルマーの最終定理」と呼ぶようになりました。

 

そのフェルマーの最終定理に引導を渡したのが、ワイルズというイギリスの数学者でした。

ワイルズがフェルマーの最終定理を完全に証明したというニュースは

1996年、20世紀最後の数学界の大ニュースとして世界を駆け巡りました。

記者会見で「なぜ世界中の数学者が解けなかった難問をにあなただけが証明できたのでしょうか」と尋ねた記者に

ワイルズは「若い頃からの情熱」を理由に挙げています。

小学校の算数の授業で教師から「フェルマーの最終定理」のエピソードを聞いたワイルズ少年は大変感動し、

算数が大の得意だった彼は、必ず自分が証明してみせると固く心に誓ったそうです。

それからのワイルズは、高校も、大学も、数学者になるため、

しかも数学の中でもフェルマーの最終定理を解くために必要な分野を選び、

やがて数学の教授となりますが、

その目的もすべてはフェルマーの最終定理を証明するため。

論文書く時も、授業する時も、常に頭から離れないのがフェルマーの最終定理でした。

そしてついに50歳の時に完全に証明したのです。

 

感嘆した記者は「それほど長年にわたって取り組んできた夢を叶えた今の喜びはいかほどでしょうか」とマイクを向けましたが、

ワイルズの言葉は意外なものでした。

「この問題を解いてしまったことで、喪失感がある」

「私にとってあんな魅力的な問題はもう現れないでしょう」

 

それまではどんな苦難もフェルマーの最終定理を説くためだと思えば、乗り越えることができた、

だんだん証明に到達点に近づいていく日々に、充実感、手応え、生きる喜びも感じてきた、

しかしもう終わってしまった。

これから先、私は何に向かって進めばいいのだろう。

胸にぽっかり穴が空いたような喪失感を言葉にしたのでした。

 

「ユメ」や「生きがい」や「生きる目標」は

遠くにある時は輝いて見えますが、

かなえてしまうと一時の達成感の満足の後、寂しさが襲います。

「さてその次は何をすればいいのだろう」という心になります。

「この身になるための人生だったのか」という人生目的成就の喜びとの違いはここにあります。

 

 

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