【生死の苦海(1)】
■富山県の、のどかな住宅地のある家で
発砲事件が起きました。
発砲された家は、山口組の組員の住まいする家だと分かり、
インタビューを受けた住民は
「暴力団が近所だなんて」と恐怖に怯え、
「外出も怖い」と口にした、と報道されました。
■近所に暴力団が住んでおり、かつ抗争中だと聞けば、
確かに穏やかならざる気持ちにもなりましょう。
ところが最新の警察庁の調査では、
殺人事件の加害者の53.5%が親族によるものだそうです。
山口組の抗争ばかりが怖いわけではないことがわかります。
■さらに親族間の殺人の中でも、
子どもが実父母を殺害するケースが断トツで、
殺人858件中、実父母が被害者だったのは139件。
面識なしは88件だから、
知らない人に殺されるより、
我が子に殺されるリスクの方が高いのです。
■まさか子供が生まれてきた時に、
この子がいつか自分を殺すことになろうとは
誰が想像しましょう。
子供とて、親を支えに、たよりに、親の背中を見て成長しますが、
その親をやがて自分が殺す日が来ようとは、
思いもよらないことでしょう。
■しかし人生は、思いも寄らぬ苦悩の波が次々と押し寄せ、
果てしがありません。
それを親鸞聖人は「生死の苦海ほとりなし」といわれます。
“生まれてから死ぬまで苦しみの海”
見渡すかぎり空と水で、
どれだけ泳いでも果てしがありませんから
「ほとりなし」といわれています。
■社会の荒波にもまれ、
せめて家族を安らぎに、という人は多いですが、
家族間でも、さまざまな大波が襲いかかり、
やはり家庭も「ほとりなし」です。
いやむしろ赤の他人で腹が立つ人、嫌な人とは、
距離を置き、接しないようにすれば、
まだ気持ちを落ち着かせることができますが、
寝食を共にする家族とは距離を置くわけにもいかず、
利害損得も複雑にからみ、長年の愛憎もあり、
引くに引けない段階まで追い込まれるのでしょう。
■親鸞聖人は、この生死の苦海の人生を明らかにされた上で
「生死の苦海を明るく楽しく渡す大船がある、早く乗りなさい」
と、教え続けられた方でした。
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