【慢(1)】
「口さえ開けば自分の自慢」が私たちです。
もちろん小学生のように
「ぼくねえ、一番だったよ」「ぼくねえ、すごいんだよ」
と露骨な自慢話しはひんしゅくを買うので控えますが、
大人になると遠回しに自慢する術を覚えます。
自慢話しの大人のテクニックを3パターン、紹介します。
1.自分が自慢できる話題になるように持っていく
2.人を批判し、自分はそうでない人間であることを自慢する。
3.卑下しながら実は自慢
1の「自分が自慢できる話題になるように持っていく」というのは、
「オレの場合、○○してるんだけど~(以下、自慢)」というケースですね。
その持っていき方がスムーズな人は会話上手と見なされますが、
強引に短絡的に持っていく人は
「あいつ、すぐそっちの方向に話しを持っていくから」
と失笑をかうことになります。
2の「人を批判して、自分を上げる」パターンは、
「最近の若い者はすぐあきらめる。自分たちの時は~(以下、自慢)」
「ここは打って出るときだろう、こんなことはオレにもあった。あの時は~(以下、自慢)」
というもの。
先輩、経験者の適切なアドバイスともいえますが、
得意然と自慢話しているに過ぎないこともあるので、自戒したいところです。
3の「卑下しながら実は自慢」というのは、
卑下しているように見せて、遠回しに自慢する、というテクニックです。
ある女子会で、最近恋人ができた一人が言ったそうです。
「でも、何で私なんだろうって思って。彼だったらもっと素敵な人が一杯いるだろうに」
これも一見、自分を卑下している台詞ですが、露骨な彼氏自慢です。
居酒屋でサラリーマンが
「あいつみたいに人間関係を上手に立ち回れないから。オレ、不器用だし」
と言っているのもそうです。
卑下しているように見せて、内心は、
根回ししなくても実力が認められていることをアピールしていたり、
誠実さを自慢しているのですから。
こんな落語もあります。
ある寺で説法の終わったあと、僧侶にあるお婆さんがぺこりと頭を下げてこう言った。
「私ほど悪い者はおりません」
それを聞いた僧侶
「そうか、ばあさん、実は他の人もあんたほど悪い者はいないと言っとるぞ」
と言うと、たちまち顔色を変えたお婆さん
「誰ですか!そんなことを言っているのは!」
と詰め寄る。
僧侶が
「ばあさん、冗談じゃよ。あんたほど頭の低い、謙虚ないい人はいないと皆言っているんだよ」
と笑うと、お婆さんは
「なんだ、住職さん、あんまり驚かさないでくださいよ」
と言った、という話しです。
「口さえ開けば自分の自慢」だなと知らされてくると、
何もしゃべれず、何も書けなくなってしまいそうですね。
親鸞聖人が「親鸞さらに私なし」と、
ご自身のことをほとんどと言っていいほど語られなかったのは、
「名利の大山に迷惑す、恥ずべし、傷むべし」という、
自慢したい心を恥じるお気持ち、大きな山ほどある自己顕示欲への懺悔があったと思われます。
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