親鸞に学ぶ幸福論

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人は死んだらどこへ行くのか。仏教の視点

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【無明の闇(1)】

 


ある僧侶がブログで

「生まれた物は皆、土へ還る。

痛みや苦しみから解放されて土に還っていく。

遅かれ早かれ皆同じだ。そうして命は巡っている。

そう受け入れればいい」

と書いたところ、

その文章が多くの人の賛同を呼び、

ネット上で広く拡散されました。

 

この一事からわかるのは、今日の日本では、

「死んだら無だ」という見解が一般的だということです。

 

この僧侶の言葉に心惹かれる理由は私もわかります。

人生には苦しいことも多い、

嫌なこともいっぱいある、

だけどあなたも周りの人もやがて死に、一切は霧散するのだから、

今の人生の現実とて、一種の夢幻だ、

夢幻の人生で、たとえ嫌なことがあっても、

そんなにクヨクヨしなくていいんだよ、一切が泡沫の夢なんだから、

と言われると、「苦しみ」も「私」も

客観的に感じられ、心が軽くなるのでしょう。

 

しかしよく考えてください。

この僧侶の言う「皆、土へ還る」との主張、

「私の肉体」はその通りだとわかります。

やがて土に還り、草木の栄養となり、

それを食べる動物がいて、命は巡っていく。

それが「私の肉体」のことなら、その通りですが、

「私」がそうかとなると、話は別でしょう。

 

「私の肉体」=「私」だと、現代科学が証明したわけではありません。

「私の肉体」=「私」とも、

「私の肉体」≠「私」とも判断し得ず、

「わからない」という見解です。

何を根拠にこの僧侶は「私の肉体」=「私」と断定するのか、

この僧侶に問い質したいところですね。

僧侶を自認するのだったら、

自分のふと感じた思いで勝手なことを言ってもらいたくないですから、なおさらです。

 

もし死んだら無になるのなら、

自殺も「痛みや苦しみからの解放」ですから

悪いものではないことになります。

何も苦しい人生をずっと耐え続けて生きなくても

「死にたければ死ねばいい」も一論であり、

死の痛みを感じさせない安楽死が奨励されることとなります。

 

もっと極端なことを言えば、

「死んだら無」とはっきりしたなら

肉体的苦痛さえなくぽっくり死ねるなら、いつ死んでもいいよ、

となります。

二度と大切な人と会えない寂しさはあるかもしれませんが、

それもよく考えてみれば、

別れた後、寂しいと苦しむ自分もすでにいないのですから、

大切な人の腕枕で死ねればそれで寂しくない、ことになります。

 

死んだら無になるのがはっきりしているのなら、

「死ぬまで自分のやりたいことを、

やりたいだけやり尽くして、

捕まる前に安楽死しよう」

と考える人がいても、おかしくありません。

 

「何やっても死んだらチャラなんだから、エエやん」と、

今までは世間体や警察や刑務所が怖くてやらなかったことも、

好きなだけやりまくれ、という発想を起こす人もあるでしょう。

いや、現にアメリカで銃を乱射して最後自殺する若者の姿は、

そういう発想に近いものがあります。

 

こう言うと、

「いや、自分は死んで無になるからといって、

自ら命を絶ったり、犯罪を犯さないのは、

残された家族や友人を苦しめ、辱めることになってしまうから、

できないでしょう?」

という人もあるかもしれません。

これは、心の優しい、思いやりのある人の主張であり、

真っ当な意見です。

 

では地球滅亡一日前となったらどうでしょうか。

自分だけでなく、周りもどうせ終わるんだから何をしてもいい、となり、

その時こそ、一切の秩序が崩壊してしまうかもしれません。

ゲームでいうなら、リセットボタンをしてやり直そうとなったら、

「このゲームの中の世界、どうせ終わるんだから、何をしてもいい」

となるようなものです。

 

今回「死んだら無になるとはっきりしているのなら」

という切り口からいろいろ話してきましたが、

実際の私たちは、死んだら無になるとはっきりしていないので、

「死」に際して、得体の知れぬ不安が呼び起こされます。

死を前にした人の心の底に

「残された人生、何をすべきか」

「悔いなく生きるとはどういうことか」

「必ず死ぬのに、なぜ生きるのか」

と真剣な問いが発せられるのも、そのためです。

一片の知性は「死んだら無」と肯定しても

私たちの深い人間性は死後どうなるかわからない不安を恐れているのです。

この不安を仏教では『無明の闇』といいます。

(無明の闇の意味はこちらから→ http://ur0.link/MY1q

 

 

 

 

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