【意業(1)】
表情や態度から人の心理を読み取る「メンタリスト」と呼ばれる人たちがいますが、
彼らによると、心から笑っているか、それとも作り笑いか、は
人間の表情の中でも、最も見抜きやすい一つだそうです。
メンタリストでなくても、
たいてい相手にばれてしまっているのが「作り笑い」です。
顔には非常に多くの筋肉がありますが、
筋肉には意識的に動かすことができる随意筋と、
意識的に動かすことができない不随意筋とがあるそうです。
作り笑いは100%随意筋ですが、
心の底からおかしいと思ったときの笑いは不随意筋も動くので、
自然な笑い顔になるとのこと。
カメラの前で「笑って」と言われての笑顔は、
意識的に筋肉を動かす笑顔で、
不随意筋が動かないので、どこかぎこちない。
赤ちゃんのケラケラ笑う姿は、自然と不随意筋が動いていて、
見ているこっちまで不随意筋が動いて、思わず笑顔になってしまいます。
「目は口ほどにものを言う」とのことわざの通り、
心で何を思っているか、隠そうとしても隠せないのが
私たち人間だということですね。
人と接していても、
「あの人、オレのこと、嫌っているな」
「彼と話していると、どこか壁を感じるな」
となんとなく感じてしまうのも、
その人の表情や目線、声のトーン、態度などに、
その人の本音が現われてしまっていて、それを感じ取るからです。
仏教で「身業」(すること)、「口業」(しゃべること)よりも
「意業」(思うこと)を最も重視する理由も実にここにあります。
心が口や身体を動かす本体だからです。
心で思ったことが口や身体に現れるのは、
あたかも川の上流と下流のようなものです。
上流に塗装工場の赤いインクを大量に流し込めば、
下流は赤く染まります。
逆に上流に青いインクを流し込めば、
下流は青く染まります。
上流が心です。
下流は口や体です。
心で思ったことしか、口や体は動かないのです。
だからこそ仏教は心を重視します。
体や口の行為(言動)には気をつけるものの、
心で何を思っているか、に気を張る人は少ないようです。
しかし身体を動かす心、口に言わせる心、
その心にこそ、真にその人がやったり、言ったりしていることの根源があるのです。
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