【後生の一大事(1)】
子供に重力の話をすると、まず出てくる質問が
「なぜ地球に重力があるの?」ということです。
実はこの問いには、いかなる科学者も答えられません。
わかっているのは、引力という力がこの宇宙には存在する
という事実だけです。
ところが学校に行くようになり、
「質量を持つ物体の間には、引き合う力が発生する。
その力は、物体間の距離の二乗に反比例……」
と説明され、さまざまな方程式を学び、
答案を埋める作業をしていく中で、
重力が分かった気になり、疑問さえ抱かなくなってしまいます。
同様に、科学が人体の仕組みを解明し、
快や不快、思考までも、脳内の化学反応で説明するようになると、
生きていることが、何となく分かった気になります。
【己は何のために生まれてきたのか】
【なぜ苦しくても生きねばならないのか】
人生の本質的な問いには、何ら答えを知らないのに、です。
臨終の不安と絶望の中で
「あなたの苦悩は、脳内のこういう化学反応によるんですよ」
と説明され、
「そうでしたか」
と安心できるかといえば、無理でしょう。
知りたいのはそんなことではないからです。
『大命将に終わらんとして悔懼交々(けくこもごも)至る』
(臨終に、後悔と恐れが、代わる代わるおこる)
【死んだらどうなる のだろう】
真っ暗な未来だけが大問題になる、と釈迦は説かれています。
これを仏教では『後生の一大事』といいます。
知識や学問では精算できない一大事です。
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